カナダ軍のアフガン撤退は2011年 ハーパー首相が改めて言明
スティーブン・ハーパー首相は21日、オンタリオ州グエルフで行われたメディア・イベントで、カナダ軍は2011年にアフガニスタンから撤退すると改めて言明した。ハーパー首相は、16日に行われたオバマ大統領との首脳会談でも、カナダの選択をはっきりと伝えており、この日も「2011年にはアフガニスタンでの駐留期間が、ふたつの世界大戦を合わせたものとほぼ同じ年数になる。そろそろアフガン政府が自分たちの手で安全を維持できるよう見守るときだ」と記者団を前に語った。
同日付の米紙ワシントン・ポストは、アフガニスタン駐留米軍のマクリスタル司令官が8月末に政府に提出した非公開の報告書の中で、1年以内に駐留米軍を追加増派しなければアフガンでの任務は失敗に終わる恐れがあると訴えたと報じている。報告書を受けて、オバマ大統領は増派を検討しているとされるが、16日のハーパー首相との会談後には、増派について「明確な戦略がないまま、若者を戦地に送り込むことはしない」と即断しない考えを表明し、20日放映のNBCテレビでは、戦略見直しの必要性も指摘している。こうした中、欧州でもテロとその犠牲者が減らない苛立ちから派兵反対の機運が高まっている。
出口の見えないアフガン情勢。今後のあり方や引き際を見極めようとする各国の中で、カナダは当初の予定通り、2011年の撤退を貫く。
オバマ大統領との会談
ハーパー首相は16日、ホワイトハウスを訪れ、オバマ大統領と会談した。アフガニスタンをめぐる問題は会談の主な議題のひとつで、ハーパー首相は2011年のカナダ軍撤退について改めて言及するとともに、これはカナダがアフガニスタンを見捨てることを意味するものではなく、2011年以降は軍隊の派遣から人道的な貢献へとシフトさせていくつもりであることを伝えた。オバマ大統領はカナダ軍の多大な貢献と犠牲に対して敬意を表し、2011年以降については特別な要請や要望をカナダ側に示すことはなかった。
会談の2日前、ハーパー首相のスポークスパーソンは、カナダの2011年撤退を再度正式に表明。米国訪問前にあらかじめ駐留延長の問題に関するカナダ側の姿勢を強調した。
会談の翌日には、アフガニスタンに駐留している23歳のカナダ人兵士が、仕掛けられた爆発物を車両ではね死亡。2002年にアフガニスタンでの駐留が始まって以来131人目の犠牲者となった。現在カナダ軍は北大西洋条約機構(NATO)軍の一部としてアフガン南部のカンダハールに2500人の兵士を常駐している。
アフガン情勢をめぐって
アフガニスタンでは、8月20日に実施された大統領選挙の少し前から、タリバン勢力によるテロ活動が激化している。17日には米国大使館近くの最も安全とされる地域でNATO軍の車列に向けた自爆テロが発生し、イタリア兵6人と市民10人が死亡、50人あまりが負傷した。これを受けてベルルスコーニ伊首相は同日、同盟国との協議を前提としながらも、早期撤退を表明した。同国の世論調査では「アフガン増派」反対が69%、「段階的撤退」賛成が56%となっている。
約9000人を派兵している英国では、兵士の犠牲者はイラクを上回っており、国民の60%が派兵に反対という世論調査の結果が発表されたばかり。
選挙が迫ったドイツでも、政府のアフガン政策をめぐる議論が激化している。発端となったのは、4日にNATO軍のドイツ部隊がハイジャックされた燃料輸送トラックに行ったとする空爆で民間人30人を含む約100人が死亡したこと。空爆の指揮を執ったのがドイツ人将校だったため、派兵そのものに対する疑問も噴出している。
21日付の米紙ワシントン・ポストが報じたマクリスタル司令官の66ページにわたる報告書では、前述したように「1年以内に米軍を増派しなければアフガンでの任務は失敗に終わる恐れがある」としているが、「新たな戦略がなければ人員を送るべきではない」とも述べられている。
アフガニスタンには現在、米国の約6万2000人をはじめ、42カ国から計10万人が駐留している。
ハーパー首相の見解
ハーパー首相は今年3月に行われたCNNのインタビューでアフガン問題について次のように述べている。「アフガニスタンに駐留する多国籍軍は、反政府武装勢力に勝つことはできない。カナダは明確な戦略のないまま軍を増派することはできない。アフガニスタンに必要なのは、諸外国にインストールされた政府ではなく、武装勢力に対処する能力を持った自分たちの政府だ。率直に言って、武装勢力を打ち負かすことは決してできないというのが私の考えだ。もし我々がアフガンの人たちのためにアフガンを統治するのだとか、アフガンの日々の治安に対して責任を持って国を改善できるなどと考えるなら、それは間違っている」