世界の出来事 - 10月号 -

国連安保理首脳会合 「核なき世界」を目指す決議、全会一致で採択

 国連安全保障理事会は24日、ニューヨークの国連本部で核不拡散と核軍縮に関する首脳級会合を開き、「核兵器なき世界」を目指す決議を全会一致で採択した。会合は9月の議長国に当たる米国が提案し、核廃絶を提唱しているオバマ大統領が主宰。米大統領として初めて議長を務めた。

 決議は、「核なき世界」に向けて、核拡散防止条約(NPT)体制の徹底を呼びかけ、すべての国に条約の加盟を促し、爆発を伴う核実験の自制を求めた。また核実験全面禁止条約(CTBT)の加盟および批准もすべての国に求め、国際条約および決議の完全履行や原子力平和利用を改めて提唱した。

 オバマ大統領は冒頭の演説で、核兵器の使用と拡散を「全人類と国家に対する絶対的な脅威」とし、「国連は核戦争の危機を回避するために中心的な役割を担っている」と強調。その上で、イランや北朝鮮に関する安保理決議が順守されていないことにふれ、「今後1年が、核不拡散と核軍縮の成功を左右する重要な1年になる」と述べ、迅速な対応を各国に呼びかけた。

 常任理事国の反応として、ロシアのメドベージェフ大統領は、米国との間で進行中の核軍縮交渉に言及し、「困難を伴う大変な取り組みだが、尽力しなければならない」とすべての核保有国の支持を求めたほか、ブラウン英首相らは、テロリストの核兵器入手を阻止することが必要であると述べ、中国の胡錦濤国家主席は核兵器の脅威を抑えるため、核の先制使用など核抑止政策を破棄しようと述べた。

核廃絶に向けたオバマ大統領の決意

 米国の大統領が安保理首脳会合で議長を務めるのは史上初。さらに核不拡散と核軍縮のテーマに限定した会合もこれまでに前例がなく、決議は核を保有する常任理事国が中心となって核軍縮と原子力の平和利用を推し進め、ゆくゆくは核廃絶を目指そうという新時代の到来を印象付けるものとなった。

 オバマ大統領は今年4月、チェコの首都プラハで演説し、「核兵器のない世界」の実現に向けて世界を牽引していくことを宣言し、そのための新政策を打ち出していた。広島・長崎への原爆投下を指す「世界で唯一核兵器を使用したことのある核保有国」として、「米国は行動を起こす責任がある」と述べ、「この取り組みは米国だけで達成することはできないが、世界を牽引することはできる」と決意を表明した。

鳩山首相、非核三原則の堅持を宣言

 鳩山由紀夫首相は24日、核不拡散と核軍縮に関する安保理会合で演説し、非核三原則の堅持を改めて宣言。唯一の被爆国として、核不拡散や核軍縮に積極的に取り込む決意を表明した。首相は「日本は戦後の復興後も、核を保有する道は選ばなかった」と述べ、「被爆国としての責任を果たすため、非核三原則を改めて誓う。日本は核廃絶に向けて主導していかなければならない」と宣言した。

 安保理会合の決議を受け、広島市の秋葉忠利市長は25日、「子どもたちの未来にとって、大変素晴らしいこと。歓迎したい」と述べた。鳩山首相の演説についても、「日本の総理大臣として、被爆者の思いを国際社会にしっかりと訴えてくれた」と評価した。

イランが新たなウラン濃縮施設を建設

 国際原子力機関(IAEA)は25日、イランが新たなウラン濃縮施設を建設中であると通告してきたことを明らかにした。オバマ大統領は同日、英仏首脳とともに声明を読み上げ、イランが7年間、秘密裏に第2の濃縮施設を建設してきたことを非難し、イラン政府に核不拡散に関する国際規則を順守するよう求めた。24日の安保理首脳会合で「核なき世界」を目指す決議を採択した直後のニュースとあって、「核不拡散体制に対する真っ向からの挑戦」と強く非難するとともに、IAEAによる査察に応じるよう求める緊急声明を発表した。

 イランは現在、中部ナタンツの核施設で濃縮活動を続けているが、2ヵ所目の新たな施設はテヘラン南西のコム近郊にある軍事関連施設で建設中という。イランは新施設には核物質は運び込まれておらず、濃縮度5%以下の低濃縮ウランの製造を行うことになると説明。国連総会参加のためニューヨークを訪れていた同国のアハマディネジャド大統領は25日、2ヵ所目のウラン濃縮施設について「平和目的だ」と主張し、稼動は1年半後に可能になると述べた。さらに、秘密裏ではなくIAEAの規則どおり申告しており、IAEAの査察を受ける用意があると語った。

 イランについては、10月1日にジュネーブで国連安全保障理事会常任理事国5カ国にドイツを加えた6カ国とイランで核問題をめぐる協議が行われることになっている。6カ国はイランに「真剣な回答」を求める考えで一致している。協議を前に施設の存在を認めることで、追加制裁を逃れようとしたとの見方もある。

Posted by staff on 11 月 24th, 2009 and filed under ニュース World. You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0. You can leave a response by filling following comment form or trackback to this entry from your site

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