日本の企業社会 - 9月号 -

 最近、日本国内ではアウトレット・モールの開設が目立っています。そこだけを訪れることを目的とするバス・ツアーも盛んなようです。筆者自身も、学生を連れて、また家族とともに、幾度かアウトレット・モールに行った経験があります。圧倒的に女性客が多いように思われますが、家族連れの客も少なくありません。もっとも、特に中高年の男性陣は、時間を持て余しているようにも見受けられます(筆者も、その例外ではありません)。

 アウトレット・モールは、1980年代に米国で生まれたもので、主にいわゆるメーカー品や高級ブランド品を低価格で販売する複数のアウトレット店舗によって構成されるショッピング・センターのことです(以下はウィキペディアに依っています)。

 アウトレット・モールは、ブランド・メーカーの衣料品やアクセサリーなどの、流行遅れ商品や通販のクーリングオフ品、「訳あり品」などを処分するために、工場や倉庫の一角に設けられた「アウトレット・ストア」が淵源と考えられています。

 アウトレット店舗には、メーカーなどが自社企画品や自社生産品の直接販売を行う「ファクトリー・アウトレット」と、小売店がメーカーから仕入れた在庫品を販売する「リテール・アウトレット」の2種類があるとされます。「ファクトリー・アウトレット」では通常、販売するブランド名を掲示しメーカー直販を明示しています。

 アウトレット・モールの多くは、高速道路や幹線道路沿いの郊外、観光地に立地しています。近年は、高速道路のインターチェンジと専用通路で直結されているものもあるようです。都心部の正規品流通店舗との競合を避けて、通常店舗の分布が少ない地域にアウトレット店を置くことで広域から一定の集客を得るためと、そもそもの土地代の安さによって安値販売を成立させるためです。

 じっさい、日本国内の大手が運営するアウトレット・モールに入っているテナントの売上高は、三菱地所が対前年比14%増の1735億円、三井不動産が同46%増の1597億円と急拡大しています。

 ともかく、アウトレット・モールが盛況を呈しているのは、既述のように、商品価格の安さにあることは明らかで、百貨店やスーパーが軒並み、売上高の大幅減少に直面する中で、アウトレット・モールの売上高は「右肩上がり」を示しています。

 さらに言えば、アウトレット・モールを含むショッピング・センターの設置も顕在化しています。これらの背景には、車社会の発達があります。これによって、郊外や農村部の幹線道路沿いの田畑を埋め立てて広大な敷地を確保した大型ショッピングセンターの出店が盛んになったと言われています。

 ちなみにカナダでも、ドバイに開設されたショッピング・センター「ドバイ・モール」の開業以前は世界最大のショッピング・センターだったアルバータ州エドモントンの「ウェスト・エドモントン・モール」は、店舗数が800を超え、ホテル、遊園地、水族館などを備えており、年間入場者が2000万人にのぼるということです。

 しかし一方で、日本国内では、これらの存在が、郊外に向かって市街地が拡大し、無秩序な開発が行われる、いわゆる「スプロール現象」をもたらし、その結果、中心市街地が衰退する状況が生まれています。この傾向は、特に地方で顕著です。その象徴として、多くの商店街が衰退を来しています。

 もともと、地域商業としての商店街は、小売商業者の事業と就業機会というだけではなく、地域社会に深く根ざした存在でした。一部の中心商店街を除くと、小売商業者の多くはその地域に居住を構え、地域の人々とともに暮らしてきました。そこに地域のコミュニティが生まれ、地域の歴史と伝統が形成され、維持継承されてきたのです。また、商店街はその地域社会によって支えられ成り立ってきています。つまり、地域社会と商店街はともに支え合う関係を築いてきたと言えるのです。

 その商店街の衰退を象徴するものとして、空き店舗の問題が現在、クローズアップされています。商店街に空き店舗が目立つようになってくると、商店街全体の魅力が大きく損われ、商店街自体の集客力の低下、ひいては中心市街地の衰退にもつながります。

 このように、アウトレット・モールなどの開設によって従来には手にしなかった様々な利便性を獲得しているわけですが、一方で、地域社会が否応なく変質を迫られつつあり、コミュニティの喪失をはじめとする問題に直面していることに、私たちはこれまで以上に注意していく必要があります。

中根 雅夫

Posted by staff on 9 月 24th, 2009 and filed under 日本の企業社会. You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0. You can leave a response by filling following comment form or trackback to this entry from your site

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