
追悼の意を込めて、新作ではないけれど、裁判で無実が確定した直後(2005年)に発売されたベスト盤を紹介したい。これは数あるマイケルのベストアルバムの中でも特に人気の高いベスト盤だ。2枚組みで全37曲。ジャクソン5時代の作品からKING OF POPとして君臨して以降の最近の作品まで、全キャリアより厳選された、まさにエッセンシャルな内容だ。
天才的なダンス・パフォーマンスやスキャンダラスな私生活ばかりが注目されがちで、歌の上手さが影を潜めてしまった感があるが、彼はシンガーとしても超一流だった。少年時代の歌声に耳を傾けて欲しい。最近のマイケルしか知らなかった若い人たちは、抜群の歌唱力にびっくりすることだろう。そして大ヒット曲の多くが、マイケル本人によって作詞・作曲されていることにも注目してもらいたい。ソングライターとしての才能にもはっとさせられることだろう。今こそ、ただ純粋に彼の音楽を聴いてみて欲しい。このベスト盤で、一人のシンガーの成長の軌跡をじっくりとたどってみて欲しい。マイケル・ジャクソンみたいな表現者は2人といないのだということが、改めて実感できることだろう。