新型インフルエンザ、カナダのその後 WHOは警戒水準フェーズ6に
新型インフルエンザ(H1N1)のウイルスが世界の保健当局に確認されてから約3ヵ月。感染者は世界で15万人、死者は800人を超えた。現在冬を迎えたオーストラリアを始めとする南半球で感染が拡大する一方、夏の北半球でも当初の予想ほど衰えをみせていない。世界保健機関(WHO)は6月に新型インフルエンザの警戒水準を「フェーズ5」から最高の「フェーズ6」に引き上げた。
カナダでも感染者は着実に増加しており、公衆衛生局によると、7月15日現在、国内の新型インフルエンザ感染者は累計9,855人、入院した患者は902人、死亡者は39人となっている。
7月に入ってからのカナダ国内における新型インフルエンザのニュースをまとめた。
カナダでもタミフル耐性ウイルス
カナダ保健局は21日、ケベック州の新型インフルエンザ患者から抗インフルエンザ薬「タミフル」に耐性を持つウイルスが検出されたと発表した。これまでタミフル耐性のウイルスが確認されたのは、デンマーク、日本、香港で、北米では初めて。この患者は60歳の男性で、既に回復しており、軽症で入院の必要もなく、感染も広がっていない。男性の息子がインフルエンザに感染していたため、発症前にタミフルを予防投与されていた。
インフルエンザウイルスは変異が起きやすく、製薬会社の注意書きには、タミフルを投与されたインフルエンザ患者の0.3~4.1%に耐性ウィルスが出現するとあり、カナダの研究チーム長ガイ・ボイヴィン医師は、今回のタミフル耐性のウイルスは過去に報告されたことがある変異体で全くの想定外ではなかったと述べた。
1歳未満にもタミフルの使用を承認
レオナ・アグルカク保健相は23日、新型インフルエンザの新しいガイドラインでは、インフルエンザに感染した1歳未満の乳児にもタミフルの投与を許可することを発表した。カナダ公衆衛生局は、乳児を治療する医師のための暫定的なガイドラインを作成。同局のウェブサイトによると、「1歳未満のタミフル使用に関する安全データは限られているが、この年齢層の重症化や死亡のリスクを考慮すれば、使用を承認する必要がある」としている。
もうひとつの抗インフルエンザ薬「リレンザ」の使用は、現在のところ7歳以上とされる。
キャンプで大量感染
オンタリオ州ムスコカ地区のサマーキャンプに参加していた子供たちが新型インフルエンザに大量感染した。保健局によると15日現在、子供227人およびスタッフ61人が感染し、帰宅または隔離という処置が取られている。
感染は3つのキャンプで起こり、ほとんどが軽症で、入院の必要はない。症状は咳、喉の痛み、発熱、体調不良、倦怠感など。夏季にインフルエンザが拡大を続けることは一般的ではないが、今回の大量感染は他の地域でも夏に感染が拡大する恐れがあることを示す前例となった。
オリンピックとワクチン
バンクーバー・オリンピック/パラリンピック冬季競技大会組織委員会(VANOC)は15日、新型インフルエンザのワクチンがオリンピック前に製造され入手できるようになっても、入手の優先順位を上げてもらうようはたらきかけることはないと記者会見で述べた。
VANOCでは、2万5000人のボランティアとスタッフのために季節性インフルエンザのワクチンはすでに確保してあるという。オリンピックに参加する選手らは自国の委員会が対応するためVANOCに新型ワクチン調達の義務はない。
WHOは週始めに、ワクチンの優先順位で最初にくるのは医療従事者であると発表している。
BC州で初の死者
BC州で新型インフルエンザによる初の死者が確認された。メトロバンクーバーの幼児および同地区の若い女性。幼児はインフルエンザによる合併症の疑いで12日に入院したものの、それから丸1日経たないうちに亡くなり、その後体内からH1N1型のウイルスが発見された。女性は持病を持っており、8日に入院。同ウイルスを持った人と生活していたが、女性からウイルスは確認されていない。
この日までにBC州では382人の感染が確認されており、入院が14人、このうち5人が集中治療室に入っている。
感染したCFIA職員が飛行機を利用
カナダ食品検査局(CFIA)は23日、検査官の一人がアルバータ州の養豚場でH1N1型ウイルスに感染した後、飛行機でカルガリーとウィニペグ間を往復していたことを発表した。この検査官は4月29日午前、養豚場で採取したサンプルをクーラーに入れて連邦ウイルス実験室に配達するため、エア・カナダ・ジャズを利用し、その日の午後再び同社の便でカルガリーに戻った。
検査官は飛行機に搭乗した時点で喉の痛みを感じていたというが、CFIAは「アンモニアや土埃のある養豚場を訪れた後では喉の痛みはよくあること」であり、過失ではなかったと強調している。