女性のための避難所 2008年は10万1千人が利用
カナダ統計局は13日、昨年(2007年4月1日~2008年3月31日)国内で「女性のための避難所(シェルター)」を利用した女性や供に関する調査のまとめを発表した。報告書によると、昨年は約101,000人の女性と子供が国内569のさまざまなタイプのシェルターに避難しており、この数字は過去10年間、ほぼ横ばいであるという。
避難の理由は、80%の女性が何らかのかたちの虐待から逃れるためであることが明らかにされ、このうち75%が虐待を加えた相手を配偶者・内縁の夫または元配偶者・元内縁の夫と答えており、子供を巻き込んだ家庭内暴力の実態が浮き彫りにされた。
避難の理由
2008年4月16日に行われたアンケートでは、避難の理由として主なものから、心理的虐待(65%)、肉体的虐待(55%)、脅迫(39%)ハラスメント(36%)、性的虐待(28%)などが挙げられた。(*アンケートは複数回答されている。)避難している女性の約半数が子供同伴だったが、このうち25%が子供に母親が虐待されている場面を見せたくないという理由も挙げた。心理的虐待については2000年の調査より上昇している。
また子供をさまざまな虐待から守るために避難してきた母子も多く、子供に対する心理的虐待(20%)、肉体的虐待(12%)、脅し(10%)、ネグレクト(7%)、性的虐待(4%)などが避難の理由と回答された。
ただし、20%強が子供は同伴しておらず、子供を伴っての避難は、わずかながら減少傾向にあることがわかった。
この他、手ごろな家賃の家が見つからないのが、シェルターで暮らしている主な理由にあるという女性も3分の1いた。
利用者の年齢と虐待の加害者
年齢も家庭内暴力のリスク因子であると言われ、同日に行われた調査では、虐待を理由に避難している女性の年齢は、ほとんどが45歳未満であることがわかった。15~24歳が18%、25~34歳が36%、35~44歳が24%、45~54歳が12%、55歳以上が6%だった。
シェルターに避難した女性の大部分が既婚か内縁関係にあり、3分の2が現在の配偶者または内縁の夫からの虐待を逃れて避難していた。元夫または元内縁の夫からの虐待は12%だった。現在の夫または以前の夫による虐待(32%)よりも、現在の内縁の夫または以前の内縁の夫による虐待(45%)の方が高い割合を示し、正式な婚姻関係にないカップルのほうが暴力のリスクが高まることが示された。以前または現在の交際相手による虐待は7%、親族の誰かによる虐待は6%だった。
自からの意志で避難したのは3分の1
家庭内暴力の被害に遭っている女性が自ら助けを求めることは、困難なこともある。今回の調査では、34%の女性が自分の意思で避難所に足を運び、約30%が別のシェルターやコミュニティ・エージェンシーの紹介で現在のシェルターに避難していた。別の調査によると、虐待を受けた後、公的機関に助けを求める女性はわずか34%で、家族や友人などに助けを求めるのがほとんどだという。
また避難したすべての女性や子供がシェルターに受け入れられるわけではなく、スペース不足の場合は断られることがあるほか、アルコール、ドラッグ、メンタルヘルスの問題が絡んでいる場合は受け入れを拒否される。
25%の女性が警察に通報
虐待を受けた女性の4分の1が最近の暴行を警察に通報したと回答し、10人のうち9人以上が、今後配偶者のもとに戻るつもりはないと答えている。こうした女性は日常的に激しく深刻な虐待を受けているとみられているが、10人のうち4人はシェルターを出た後、どこに行くかわからないとも答えている。
またシェルターに避難した女性の25%が今回が初めてではないと回答しており、32%が前年も利用したとし、23%がこれまでに2~4回利用し、13%が5回以上利用したことがあると答えた。ほとんどの女性の滞在期間は1年以下だという。
シェルターのタイプ
「シェルター」にはさまざまなタイプがあり、それぞれ滞在できる期間やサポート内容が異なる。主なものには、セカンド・ステージ・ハウジング(住む場所が見つかるまで、サポートを受けながら3~12ヶ月の滞在が可能)、トランジション・ホーム(子供同伴でも虐待を置けた女性に安全な住居が提供される。1日~11週間の滞在が可能)、女性のための緊急センター(女性とその子供に1~21日の住居が提供される)、緊急シェルター(虐待された女性に限らず、1~3日の滞在が可能。家賃が払えたいための立ち退きなど、さまざまな理由から男性も利用できる)、などがある。
今回の調査では、避難先は、トランジション・ホーム(44%)女性のための緊急センター(25%)、緊急シェルター(19%)という順で、2008年は緊急タイプの施設に避難した女性の増加が目立った。