日本の企業社会 (113)

中根 雅夫

本国内の多くで、現在、商店街が衰退しつつあります。すなわち、商店の数が、駅周辺や市街地といった都市中心部で減少する一方で、ロードサイド、工業地区といった郊外への立地の増加が顕在化しているのです。

 従来、商店街は単に商店の販売活動と就業機会というだけでなく、地域社会に深く根ざした存在でした。一部の中心商店街を除くと、商店経営者の多くはその地域に居住を構え、地域の人々とともに暮らしていました。そこに地域のコミュニティが生まれ、地域の歴史と伝統が形成され、維持継承されてきたのです。逆の見方に立てば、商店街は、その地域社会によって支えられて成り立っているのです。つまり、地域社会と商店街は、ともに支え合う関係を築いてきたと言えるのです。

 しかし、昨今、上述したような意義をもつ、中心市街地活性化のバロメーターである商店街において、空き店舗の増加・常態化が全国的な課題となっています。商店街に空き店舗が目立つようになってくると、商店街全体の魅力が大きく損われ、商店街自体の集客力の低下、引いては中心市街地の衰退にもつながります。

 じっさい、内閣府の世論調査によると、50.9%が地域の衰退原因として、「商店街などまちの中心部のにぎわいが薄れている」ことが指摘されています。また、東京商工会議所でも、商店街をコミュニティの核と位置づけて、商業に加えて、快適性(アメニティ)と公益的な機能を想定しています。

 東京都の調査では、中心商店街区域の空洞化の要因として、「商店街環境の悪化(来街者の減少など)」(42.0%)、「店舗の老朽化」(29.0%)、「立地が悪い」(27.0%)、「家賃が高い」(20.3%)、「家主との権利関係」(18.7%)があがっています。
 中小企業庁によると、「繁栄している」、「停滞しているが上向きの兆しがある」と回答している商店街はそれぞれ1.6%、4.8%となっており、「まあまあである」が22.9%、「停滞しているが衰退するおそれがある」が37.6%に達しています。
 より具体的に、商店街が直面する構造的な問題として、「魅力ある店舗が少ない」(36.9%)、「商店街活動への商業者の参加意識が薄い」(33.4%)、「経営者の高齢化などによる後継者難」(31.4%)、「店舗の老朽化・陳腐化」(25.5%)、「核となる店舗がない」(24.7%)、「大型店との競合」(23.9%)、「商圏人口の減少」(22.2%)、「業種構成に問題がある」(19.1%)があげられています。

 さらに、商店街の衰退の大きな要因として、既存の商店、そして商店街組合の力不足があります。すなわち、個々の商店、そしてそれらの集合した組合組織で運営される商店街の力量が明らかに不足しているのです。

 この背景には、旧来の個々の商店に、「画一性」や「陳腐性」があり、「地域性」を無視した「普遍性」があります。

 ちなみに、東京都産業労働局は、商店街組合などへの個々の商店の加入率については60%以上の加入率の商店街が70%近くを占めるものの、「20%未満」という商店街が7.5%あることを明らかにしています。

 商店街組合などに個々の商店が加入しない理由として、「活動内容にメリットが感じられない」(29.4%)、「負担経費が大きい」(14.3%)、「個店が属する企業の方針のため」(14.3%)、「活動内容が理解されていない」(12.9%)が指摘されています。

 また、商店街における組合員同士の連帯・協力が良好でない要因として、「商店街活動に対する意思統一がされていない」(69.9%)、「商店街組織の精神的支柱になるリーダーがいない」(33.6%)、「組合員(会員)間の世代格差による認識の違い」(31.0%)、「チェーン店などの進出により非組合員(非会員)が増えた」(11.3%)があげられています。

 以上、種々みてきましたが、商店街活性化には、あくまで個々の商店の自助努力が必要なことは言うまでもないことですが、加えて、競合する大型店や専門スーパー・コンビニなどに対抗するためには、力強い競争に挑戦する個々の商店と、その集積である商店街が1つの大型店のように、所定の戦略のもとに協力する体制の確立とが、何よりも必要となるのです。しかし、日本のほとんどの商店街がこれまで、合意してきた何らかの方法、アーケード・カラー舗装・各種イベント・販促・駐車場などで活性化に取り組んできていましたが、空洞化は止められませんでした。これは、合意形成ができる程度の従来の施策では活性化はできないことを物語っているのです。こうした状況に対応するためには、個々の商店の事業活動だけにとどまらず、商店街としての「集合的」経営の合理化が強く展開されなくてはならないのです。

Posted by staff on 5 月 12th, 2009 and filed under 日本の企業社会. You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0. You can leave a response by filling following comment form or trackback to this entry from your site

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