コミュニティイベント

有森裕子氏・志澤公一氏 特別講演会

2012年12月14日、2度のオリンピック・マラソンメダリストで、NPO法人ハート・オブ・ゴールド代表理事の有森裕子さんおよび、同団体理事で、日本警察消防スポーツ連盟の事務局長である現役の消防士志澤公一さんの、講演会が開かれた。

有森裕子さんと志澤公一さん
「東日本大震災復興支援活動及び防災対策」

2012年12月14日、2度のオリンピック・マラソンメダリストで、NPO法人ハート・オブ・ゴールド代表理事の有森裕子さんおよび、同団体理事で、日本警察消防スポーツ連盟の事務局長である現役の消防士志澤公一さんの、講演会が開かれた。この講演は、日本警察消防スポーツ連盟カナダ支部が主催し、在バンクーバー日本国総領事館の後援のもとに行われたもので、両氏が3.11以降行ってきた救援活動や現在の被災地の状況、災害時の心構えなどについて語った。

同日、講演に先立ち日系メディア向けの合同記者会見が開かれた。

前日は高等教育大臣のナオミ・ヤマモト氏を招き、バンクーバー総領事公邸にて両氏の歓迎レセプションが開かれた。写真は、ヤマモト議員(右)にお土産ののれんと団体のTシャツを手渡す有森氏と志澤氏。

有森氏が、今回の訪加は3.11を通して両氏が行ってきた活動の報告と、カナダの人々の支援へのお礼、そして今後も共に支援を続けていくことの確認のためであると訪加の目的を説明した後、質疑応答に移った。

まず、当地で生活する我々が義援金募金以外にどのような支援ができるかという本誌記者の質問に対して、志澤氏が次のように語った。

「現地では、当初は振り分けるのが大変なほど集まったボランティアが、現在は激減している。ボランティア活動にもお金がかかるので、義援金募金は是非継続して欲しい。国内のメディアは復興のことばかりを報道しており、困難な状況はごく一部しか流れていない。見えていない側面にまだ支援の手が必要だということを認識して欲しい。また、旅行の計画を立てるなら、東北に遊びに行ってほしい。現地を見ることがまず第一。ボランティアをしに行くという堅苦しいことではなく、東北に遊びに行き、お金を落とすこと、それ自体が被災地の経済活性化にもつながり、形としてボランティアになる場合もある。是非支援を続けてほしい」

ALTA加盟校・補習授業校及び地元小学校の児童の書いたクリスマス・カードを代表の子供たちが贈呈。

また、有森氏は、

「ボランティアの形、支援の方法について考えるときにきている」と語った。「現場に行かなくてもできる支援はある。思いだけあせって出かけても、本当に必要なことをできない場合もある。自分の生活を大切にしできる範囲で、アイデアをもってボランティアをやってほしい。現場に行かなければできないという感覚は持つ必要がない。 被災者の多くは通常の生活を送りたいという思いがとても強くなっており、外から人が来ると通常の流れを変えなければならなかったりして、非情に緊張する。外にいるからこそできることもあるはず。海外との文通などは、それまで考えもしなかったことだが、海外にも見守ってくれている人がいるということを感じることができる」

また、現実に現地でボランティアをしたいという人に対しては、

「被災地の範囲が広いため、ターゲットを決めて行ったほうがよい。現在、ボランティア・センターも解散しており、個人ではニーズがどこにあるかを探すのも大変なので、各市町村の自治会などのホームページでニーズを検索するのがよいと思う」
とのことであった。

支援・協力企業からの寄付金、当日の講演会諸費用を除く全額が、ハート・オブ・ゴールド「3.11子どもanimoプロジェクト」へ寄付された。中央が支援者代表の平居氏。

被災者に対する行政の補償活動などに関しては、現在民間人としてできることはないのではないかと語った上で、人々には怒りもあるが、そのどうしようもない怒りのぶつける先がないことに対して怒っているのが現実。また、そのことよりもとにかく今は生活を落ち着けたいという気持ちのほうが強いのではないかと語った。

震災直後に日本人の秩序正しい冷静な行動が世界中の賞賛を集めたが、志澤氏は、日本人が誇れるのは、血として流れている助け合いの精神であり、特に食べるものに関しては、物流が止まって1日におにぎりひとつのような状況下でも、子供とお年寄りを最優先し、自分や自分の家族だけを守るという態度は全く見なかったと語った。また有森氏は、子供たちが文句ひとつ言わずによく頑張っていることに心を打たれ、見ていて辛いほどだったと、言葉をつまらせていた。

続く講演会では、志澤氏は、自身が所属する日本警察消防スポーツ連盟がこれまでに日本各地で行った被災地救援活動について簡単に紹介し、災害に対する日常からの準備や心構えの大切さを訴えた。また、現在日本のボランティアはまだまだ必要で、とりわけ子供たちの心のケアや、仮設住宅の屋根の雪下ろしが要求されていると述べた。

有森氏は、始めてカナダの地を踏んだのが9.11のときに緊急着陸したイエロー・ナイフであったというエピソードを紹介し、3.11のためにカナダの人々と共に活動することの奇縁を感じると前置きして、NPO法人ハート・オブ・ゴールド立ち上げの経緯や、カンボジアでの対人地雷被害者の為のスポーツを通した救援活動などの経験を紹介した。そして同団体がいかに3.11の支援にかかわるようになったか、4月に被災地に入ったときに感じたことなどを伝えた。同団体と子供たちが行ったキャンプでは、お礼の手紙に子供たちが「ありがとうございました」と書いていたことに強く心を打たれたと涙ぐみながら語った。

続いての質疑応答では、今後ソフト面の支援をいかにしていくか、義援金がいかに使われるかなどの質問に答えた他、楽しいと思うことを楽しみながらやって欲しい。日常、普通に、できる人ができることをできるだけやる、ということが必要であると強調した。そして、どこにいても、どんなかたちでも、これからも支援して欲しいし、また被災者の人々や子供たちを思う心があることを彼らに伝えたいと述べた。

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