daydream 未来都市
未来都市構想のいくつかをご紹介
Sub-Biosphere 2 デザイン: Phil Pauley (www.philpauley.com) 図: Pauley Interactive (www.pauley-interactive.co.uk)
2012年は、パラダイム・シフトの年といわれています。今まで当然と考えられていた価値観や規範を大きく変えることを迫られているこの時代。70億人を超えた人類が直面する課題を解決するために、世界中で様々な分野の学者や建築家たちがその持てる知識と想像力を結集して、これからの人間の生き方を考えています。
新年にあたって、今回は、数あるアイデアの中から新しい時代の新技術と、それが可能にした未来都市構想のいくつかをご紹介しましょう。考え方のベースになっているのは、できるだけ地球や他の生物に影響を与えずに多数の人間が快適に生きていく方法を探ること。先の見えない人間の未来を、今まで気づきあげた文明の利器を駆使していかに作り上げていくかが今の課題なのです。
実現可能ではないものもありそうですが、希望を与えてくれるアイデアの数々をお楽しみください。
Carbon Nanotube カーボンナノチューブ
自然界最強の素材。この素材が発見されたことで、巨大な建物の建造が可能になり、ここに紹介するような未来都市構想の引き金になった。炭素原始を六角形に組み、それを筒状に並べた分子。組み方によって色や特徴も様々。宇宙空間まで伸びる軌道エレベーターもこの素材で作れると考えられている。すでにバイクやテニスラケットの強化などに微量に使われているが、大量生産が現在の課題。
Vertical Farming 垂直農法
街中の高層ビルで畑を作る。土地のない場所でも食料の自給自足が可能になる。運送や農薬使用の必要がなくなる。水の再利用などの効率も高まる。グリーンハウスと同じように1年中、季節に関係無く様々な野菜や果物が採れることから、5-6倍の収穫量になる。30階建てで5万人分の食料が採れるという計算もある。
Arcology アーコロジー
「アーキテクチャー(建築)」と「エコロジー」を合わせたコンセプト。商店街、住居、職場、農場、公園など、生活に必要な施設をすべてひとつの巨大な建物にまとめ、建物自体がひとつの街になる。電力や資源もできる限り持続可能な方法で建物内で調達し、自然への影響を限りなく0に近づける。主に高層ビル型のデザインが多く、今の街の2%以下の土地の使用量で済む。それによって物や人の移動量が減り、エネルギーの節約にもなる。極端な人口増加への対応もデザインの前提であるため、混み合いながらも便利な生活が送れることも目的にする。発電方法は主に、太陽電池・風力・宇宙太陽光発電など。
Bio-City
遺伝子組み換えのツタを街中に生やし、地面を冷やしたり、冬には地熱を保ったり、二酸化炭素を減らしたり、発電したり、騒音を減らしたりしようという考え。
Closed Ecological System 閉鎖生態系
1991~93年にかけて、アリゾナでこの前のバージョンが実験的に作られ、成功している。これにより完全に外界から切り離された、植物、動物、人間が、閉鎖生態系の中で共存することが可能だと証明された。
Topology Optimization位相幾何学最適化
コンピュータを使って、建物などの用途に最適な形を計算する方法。生物の進化論を、建築構造などのコンピュータ・モデルに適用することで、与えられた条件に最大限に適応した、生物学的にもっとも自然な形を生み出す。この技術を使って、生物界で見るような、人間には想像がつかないほどの合理的機能性を持つ形のアーコロジーや建物が作られるだろうと考えられている。
スタジアムの想像図。上の図が、ドーナッツ型の空間と、そこに入る観客が座ったときの重さ等をコンピュータにインプットし、コンピュータが判断した最適な構造。下の図は、それに基づいてデザイナーが美しい形にデザインし直した。
ジェネティック・アルゴリズムという方法を適用している。少しずつ構造にランダムな変化を加えて一番良いものを選ぶことを何度も繰り返すと、最終的には進化でたどり着くような生物的な形と酷似してくる。
Babcock Ranch
サンフランシスコ。4万5千人が住む街。太陽光発電所に加えて、街中の建物の屋根にソーラーパネルを設置することによって、昼間は街全体が完全に自家発電し、余った電力を外部に売る。夜間は外から電力を買う。計算によれば二酸化炭素の排出量はマイナスになる。屋上で植物を育てる。インターネットを通して個人が電力の管理をする。この街を買った開発企業は、土地の90%を自然保護区とするとしている。2016年から州が選ぶNPO団体によって運営管理されるようになる。既に実現に向けて着手している。
Venus Project
いくつもの社会革命や技術革命を前提としている。新型経済の一環として考えられた街のコンセプト。中心から同心円上に街を作っていき、資源、人、エネルギーを効率的に供給する。開発や農業管理などをコンピュータが行う。
Green Float
清水建設の考えた海上アーコロジー。3万人。衛星で太陽光エネルギーを集めて地球に送り発電するほか、海熱、波、風力、太陽などを使った発電を行う。地表は人工林で覆う。塔の部分は垂直農場になっており、上が街になっている。
Seoul Commune 2026
個人のスペースはできるだけ小さくし、人と人との自然な交流を増やすことを目的としている。内部は住居とともに様々な公共施設がある。外側は植物で覆われている。
Lilypad
人口5万人。環境難民のために作られる海上アーコロジー。
未来都市や建物のアイデアに関するコンペティションはブームになっており、数多く開かれている。市、大学、企業などが主催し、子供向けのものもある。ここにある多くはそれらに出された一部。
eVoloジャーナルの高層ビルのコンペティションに応募された作品。
今、世界中が経済危機の中にあり、こうした高価なプロジェクトに手をつける余裕がないようですが、そういった中でもこれらのアイデアにビジネスマンや経済学者がインスピレーションを受けて、それぞれの分野で大胆なアイデアを生み出しています。
月にまで行った人間の底力があれば、まだまだ未来を諦めるのは早そうです。
【参考】vincent.callebaut.org,agency.archi.ru,babcockranchflorida.com,philpauley.com
shimz.co.jp,artcenter.edu,tdrinc.com/ultima.html,fosterandpartners.com
inhabitat.com/ziggurat-dubai-carbon-neutral-pyramid-will-house-1-million/
thevenusproject.com,arcosanti.org,solidthinking.com,science.nasa.gov
massstudies.com,takenaka.co.jp,schopferassociates.com/planning/arcology.html
