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人類のエネルギー展望(4)

出て行く熱と、宇宙からの熱と発生する熱のバランス。

落合 栄一郎

[6] エネルギー問題と地球温暖化

エネルギー問題を考えるには、地球温暖化との関連を考慮しなければならない。地球温暖化とは、地球上の熱(エネルギー)のバランスの問題である。宇宙から入って来るエネルギープラス地球上で発生するエネルギーと、宇宙空間へ出て行くエネルギーがバランスしていれば、地球の温度は一定に保たれるが、温室効果のために出て行くエネルギーが少なくなるか、地球上で発生するエネルギーと、または宇宙から流入するエネルギーが従来より多くなったため(太陽黒点など太陽の状態変化と地球・太陽の相互距離などの変化)に、バランスがくずれて地球が従来よりも高い温度になることである。逆に外部からのエネルギー入量が減少すれば、地球温度は下がる。

現在の地球温暖化の問題を考える前に、地球温度の変化を概観しておきたい。地球を歴史的にみて、地球の温度はかなり大幅に変化した。その温度変化の原因は、太陽活動の変化、地球の太陽の回りの楕円軌道が少し歪むとか、地球の自転軸の傾きが少し変化するとかの天体的な変化に依存していると考えられている。また、地球上での異なった地域での温度変化には、地球上の大陸の変化(移動や形の変化)が関係している。それは、大陸の位置によって、海流が変化し、地球全体への熱(エネルギー)の分散が平均化せず、寒冷地が氷結して、氷河期が誘導されるようである。全歴史の約90%は温暖であり、約10%が冷却期(氷河期)であったようである。

最近の氷河期は約3千万前にはじまり何回かの間氷期を経て、約15000年前に終わり、現在は間氷期にある。しかし、この期間でも、温度変化はあり、5000−6000年前はかなり暖かく(現在より約2度上)、3000—250年前は寒冷期、紀元1000—1350年は中世の温暖期、そして1400−1850年は小氷期といわれる寒冷期であった。日本では、戦国から江戸時代であり、このため、江戸期にはしばしば冷夏のための飢饉があった。

さて、以上の地球の歴史的温度変化には、人間の活動は影響していなかったと考えられるが、ここ2世紀ほどは、人類が先に述べたように大量のエネルギーを使うようになったために、地球の温度・天候にまで影響を与えるようになったようである。それが、今、盛んに議論されている人間活動が放出する大量の温室効果ガスのためであるとされている。

大気中にある物質の多くは温室効果を持つが、大気の主要成分である酸素と窒素にはその効果がない(構造のため)。オゾン層消滅の原因とされるフッ化炭素は温室効果が大きいが、量的にはあまり問題にならない。問題になるのは、主として2酸化炭素とメタンである。2006年の人為による2酸化炭素放出量は約9 x 1012 kg/年(炭素換算)と推定される。現在の地球温暖化が、これらの温室効果ガスにも依存することは確かだが、それが主要な原因であると言い切れるかどうかは疑問である。これに、人類が使用するエネルギーが熱として発散されているが、それ自身が温度を上げる効果もあるし、上にのべたような様々な天体レベルの変化も関係している。しかし、温暖化傾向を抑えるために人間の出来ることは、エネルギー使用量と2酸化炭素の放出量制限のみであり、これらを制御することは人類文明の維持に必須である。

メタンはどうか。メタンは生物起源と非生物起源のものがあるようである。牛や山羊などの反芻動物は、消化器系中にある微生物がメタンを発生させる。また、沼などの湿地帯などにもメタンを発生する微生物がいる。しかし現時点での大気中のメタンガスの量は、およそ0.000022%程度であり、この程度では、温暖化への影響は殆どないとしてよいようである。ただし、無機起源と思われるメタンが、海底にハイドレートという形でかなりの量存在することが知られている。これは。低温でメタンがいわば水の結晶内にとりこまれたような形であるが、現在の水温が2−3度も上昇すると、それが溶け出して大量のメタンガスが出てくると考えられている。そうなると、温暖化が加速される可能性がある。

さてちょっと横道にそれるが、2酸化炭素とメタンに関連する話題を。太陽から2番目の惑星である金星は、サイズ、構造などの点で地球に似ているが、大気は、殆ど2酸化炭素でできていて、その温室効果のためと思われるが、その表面温度は400度、高いところで500度近くある。一方、土星の惑星の一つ、タイタンも地球とサイズが似ている。このタイタンの大気は、窒素97%、メタン2%である。このことは、メタンは非生物的に、おそらく、惑星が出来る過程で、炭素と水素の反応でできたのであろう。それと同じように地球でもその形成過程で、メタンができたとしても不思議ではない。地表にあったメタンは、やがて宇宙に逃げていってしまったが、地中に巻き込まれたメタンが、メタンとして残るか、または、高温高圧で反応して、他の炭化水素(石油成分)を作り出した可能性は否定できない。ただし未だ確証はない。これが先に述べた石油・天然ガスの非生物生成説に繋がるものであろう。

[7] 今後のエネルギー政策−概要−

最後に、今後、1〜2世紀の人類のエネルギーはどうあるべきかを考えてみたい。ここで、最大の論議の別れるところは、石油が生物起源であり、数十年後には枯渇するのか、それとも、「非生物起源説」が正しく、無限とは言わないまでも、まだかなりの量が地中に埋まっているのかという点である。しかしながら、地球温暖化や、このような石油の存在状態を掘り出す技術的な問題を考慮するならば、たとえこの説が正しくとも、石油への全面依存は避けるべきであると思われる。石油は、石油でなければどうしても具合の悪い場面での使用や、臨時の補助的な使用に止めるべきであろう。そして、長期的にみれば、この石油、とくに掘削可能な部分には、やはり限りがあるはずであるから、その点でも石油依存は止めるべきであろう。すなわち石油はいずれにしても再生不可能資源である。

石油も含めて、人類は様々な非再生資源を大量に消費して、現在の文明を運営している。これらの資源は、遠からず枯渇する。すでにそれを巡って、国際間の緊張が高まっている(石油は言うに及ばず、レアーアース金属、リチウムなどに関しても)。見えないところでも、例えば、燐鉱石は、すでに殆ど掘り尽くされてしまった。このような資源浪費の現代文明は、成長経済という仕組みに基づいている。この仕組みは、資本家を富ませるために、市民の需要を喚起し、より多くをより安く生産し、より高く売りつけるようになっている。そのため、地球の資源を安く見積もって、大量消費している。このような文明は長続きできるわけがない。人類全体の物質消費を大幅に縮小する必要がある。そのためには、現在のように個々人が車を所有し、運転するような文明、大量生産・消費的文明から脱却する必要がある。

このように、経済構造を大きく変更しなければ人類文明は持続できないことは明らかである。このような観点の中にエネルギー政策も位置付ける必要がある。この時点で唯一言えることは、大部分のエネルギーを再生可能で自然なエネルギーに依存するようにする必要があるということである。

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