世界の出来事

米ウォール街発の反格差デモ 世界各地に拡大

「人口のわずか1%が世界の富を牛耳り、残りの99%が苦しい思いをするのはおかしい」

バンクーバー・アートギャラリー前


経済格差や大手金融機関への優遇策に反発し、米ニューヨークのウォール街で始まった反格差デモ。「ウォール街を占拠せよ」と銘打ち1000人規模でスタートしたこの運動は、発生から1ヵ月で北米、欧州、アジア、オーストラリアなど、実に82カ国951都市にまで急激に拡大した。デモ賛同者は10月15日を世界一斉行動日と位置づけていたことから、この日は世界各地で大規模な抗議デモが行なわれ、逮捕者や負傷者も続出したが、それだけに格差に対する世界的な不満の高さが改めて浮き彫りになった。

「人口のわずか1%が世界の富を牛耳り、残りの99%が苦しい思いをするのはおかしい」、そんな思いのもと多くの若者がウォール街に集結し、今回のデモは始まった。デモの拠点となっているニューヨークの公園には何台ものコンピュータが設置され、情報の更新はツイッター、フェイスブック、ユーチューブなどを駆使して、ほぼ24時間態勢で行なわれている。さらに運動参加者は「オキュパイド・ウォールストリート・ジャーナル」という新聞も発行し、拠点付近で配布しているという。

世界一斉行動日、各地のデモ

<北米>
ニューヨークでは15日、数千人がマンハッタン南部の公園からタイムズスクエアまでを行進した。すでに観光客で賑わっていたニューヨーク最大の繁華街タイムズスクエアは一時大混乱となり、市警は警戒態勢を敷いた。銀行の敷地内に不法侵入したなどの容疑で24人が逮捕されたほか、通行妨害で約80人が逮捕された。

また、ワシントンで数百人、ロサンゼルスで約5000人が抗議デモに参加したほか、ボストン、マイアミ、シカゴでもデモが行なわれた。

カナダではトロントで2000人以上が金融街に集結し、抗議行動を行ない、バンクーバーでは4000人が集まった。このほかモントリオール、オタワ、ケベックシティ、ハリファックス、カルガリー、ビクトリアなどで抗議運動が行なわれた。

<欧州>
ローマでは数万人がデモに参加。失業率の高さや財政の緊縮に苦しむ現状にあってかイタリア国民はデモの呼びかけに敏感に反応した。しかし数百人が暴徒化し、車に放火したり窓ガラスを割ったりするなどの破壊行為に及び、警察と衝突。約70人が負傷し、70人以上が逮捕された。

イギリスではロンドン中心部の金融街付近で約1000人が集まり、座り込みを行なったほか、5000人が集結したベルリン、マドリード、パリなどの欧州の主要都市でもデモ行進が繰り広げられた。

<アジア>
アジアでもこの日、台北、ソウル、香港、東京などでそれぞれ数百人規模のデモ行進や抗議運動が行なわれ、格差社会に対する不満が叫ばれた。

<豪・ニュージーランド>
シドニーでは中央銀行前で約2000人が、オークランドでは約3000人が抗議行動に参加した。

発端はカナダの雑誌から 9月17日よりウォール街で始まり、世界各地に飛び火した「格差是正」を求める占拠デモは、カナダ・バンクーバーの社会派雑誌「アドバスターズ」が7月に雑誌ウェブサイトでデモを呼びかけたことに端を発する。同誌の創刊者兼編集長のカレ・ラースン氏(69)は、その動機を「度を越した資本主義への警告」とし、資本主義の象徴であるウォール街に対し、カナダから戦いを仕掛けることにしたと述べている。

アドバスターズは10月17日にも、金融取引税の即時導入を主要20カ国・地域(G20)に求めるデモを29日に一斉に行なうよう呼びかけている。この呼びかけは、フランスで11月3~4日に開催されるG20首脳会議に揺さぶりをかけるためのもので、すべての金融取引に1%を課税することを要求している。世界各地で1500万人の参加を目標としているという。

<アドバスターズ>
反コマーシャリズムを掲げる非営利財団「アドバスターズ・メディア財団」が隔月で発行する雑誌。ラースン氏はエストニア出身のカナダ人。バンクーバー在住。

NY市民67%がデモを支持

米コネティカット州のキニピアック大学は18日、ニューヨークの有権者1068人を対象にした世論調査で、67%がウォール街の抗議デモを「支持する」と回答したと発表した。「不支持」としたのは23%だった。

政党別では、民主党支持者の81%が「支持する」と回答したのに対し、共和党は35%で、支持政党によってデモの捉え方に大きな隔たりがあることが明らかになった。「現在の経済は誰に責任があると思うか」という問いには、「ブッシュ前大統領」としたのが37%、「ウォール街」が21%、「オバマ大統領」が11%だった。

今回のデモには映画監督のマイケル・ムーア氏、女優のスーザン・サランドン氏、芸術家のオノ・ヨーコ氏など著名人も支持を表明している。

一方で、それぞれが唱える抗議の内容が格差是正から反戦、反原発など多岐にわたるため、メッセージのわかりにくさも指摘されている。また、ニューヨークの富裕層からは、「我々1%の裕福な市民は税金の40%を支払っていることを理解すべきだ」と運動を批判する声が上がっている。

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