パレスチナが国連加盟申請 米国は拒否権行使を表明 米国は拒否権行使を表明
アッバス議長は、「アラブの春の次はパレスチナの春だ。パレスチナ人が自由と独立を手に入れるときが来た」と加盟申請への支持を呼びかけた。
パレスチナ自治政府のアッバス議長は9月23日午前、ニューヨークの国連本部で潘基文事務総長と会談し国家としての国連加盟申請を行なった。その後、国連総会で演説したアッバス議長は、「アラブの春の次はパレスチナの春だ。パレスチナ人が自由と独立を手に入れるときが来た」と加盟申請への支持を呼びかけた。事務総長は申請問題を安全保障理事会に付託し、非公式の安保理会合が26日に開催されることが決定された。ただ、ロシアと中国が加盟申請に賛成する一方で、米国は拒否権を行使することを明言しており、現時点では安保理での採決は先送りされるとみられている。
アッバス議長の後に演説を行なったイスラエルのネタニヤフ首相は、「和平の達成なしに国家を誕生させてはならない。和平は交渉を通じてのみ達成可能だ」と加盟申請を激しく非難した。
パレスチナ市民は熱狂
第66回国連総会の一般討論演説に臨んだアッバス議長は、アラブ各国代表から総立ちの喝采を浴びて登壇すると、イスラエルの占領・入植活動を「国際法違反」と痛烈に批判し、入植の「完全停止」が和平交渉復帰の第一歩になるとの考えを強調した。パレスチナ新国家の領土については「首都を東エルサレムに置き、1967年の第3次中東戦争直前の境界を国境とするヨルダン川西岸とガザ地区の占領地全域」と説明した。
演説するアッバス議長の姿は、パレスチナ自治区ラマラ中心部に設けられた巨大スクリーンで生中継され、同議長が「国家としての加盟を求める」と述べると、駆けつけた1万人以上の市民から地鳴りのような歓声が上がった。演説中はパレスチナの「国旗」が振られ、アッバス議長の顔写真のプラカードが高々と掲げられた。興奮と歓声に包まれた広場では演説後、相次ぐシュプレヒコールがわき起こった。
仲介の4者は新提案
イスラエルとパレスチナの和平問題を仲介する米国、ロシア、国連、欧州連合(EU)の4者は23日、国連本部で外相会談を行い、交渉再開と妥結を双方に求める新行程案を盛り込んだ声明を発表した。内容は、1)1カ月以内に双方間で予備会談を行い、交渉の議題や進め方を決定する、2)3カ月以内に領土問題と安全保障に関する案を提示する、3)6カ月以内に交渉を実質的に進展させる、4)2012年末までに和平合意する、というもの。
4者はパレスチナによる安保理への申請書の提出は認めたうえで、採決を先延ばしにすることをアッバス議長に了承させ、その間に交渉再開の糸口を見つけ、情勢の悪化を最小限に抑えたいとの思惑がある。
この新提案を受けてイスラエルのネタニヤフ首相は24日放送のTVインタビューで、「前提条件なしの直接交渉なら重要な提案だ」として、受け入れに前向きな姿勢を見せ、数日中に提案に対する公式の見解を発表するとした。
しかし、和平交渉について「前提条件なし」とするイスラエルと、ユダヤ人入植活動の停止などを条件に挙げるパレスチナには埋めがたい溝があり、今後の見通しは不透明なまま。
米国が抱えるジレンマ
パレスチナの国連加盟申請に先立ち、オバマ米大統領は21日、ニューヨークでアッバス議長と会談し、申請すれば拒否権を行使することを直接伝え、申請の撤回を求めた。しかし、パレスチナ側は米国の要求を拒否。現時点では米国やEUの妥協案受け入れも難しいと伝え、申請に踏み切った。オバマ大統領は同日の国連総会でも、イスラエルとの直接交渉なしにパレスチナとしての国家を樹立することはできないと演説した。
パレスチナが国家として国連加盟を申請するに至った背景には、中東和平を外交の最優先課題として掲げてきたオバマ政権がイスラエル寄りの立場を取り続け、事態に進展がみられなかったことがある。オバマ大統領は昨年9月、国連総会の演説で、1年以内の和平合意を目指し、次の総会でパレスチナを「新加盟国」として受け入れたいと述べていた。しかし、米国はパレスチナの求める占領地における入植活動停止について、イスラエルを説得することができず、パレスチナ側に不信感が広がった。また、オバマ大統領は今年5月、パレスチナに配慮し、1967年前の境界に基づく和平交渉を提案したが、イスラエルの猛反発を招いていた。
米国は拒否権行使を表明しているが、実行に移せば中東をはじめ国際社会の反発を招くのは免れないため、国連での採択は何としても回避したいのが本音。一方、国内ではイスラエル寄りの勢力が強いため、パレスチナへの圧力強化の声に直面しており、オバマ政権は窮地に立たされている。
加盟を承認するには
加盟承認は、安保理15カ国のうち常任理事国5カ国を含む9カ国以上が賛成し、常任理事国が拒否権を行使しないことが前提。この後、国連総会(193カ国)に勧告され、3分の2以上の賛成があれば、加盟が承認される。