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イギリスで暴動 SNSを利用し地方にも拡大

キャメロン首相が「新しいタイプの暴動」と位置づけた今回の破壊行為

イギリスで暴動 photo by : George Rex

警察官による黒人男性射殺事件をきっかけに8月6日夜、英ロンドン北部トットナムで発生し、国内各地に拡大した暴動は、放火や略奪で若者3000人以上が逮捕されるなど、過去数十年で最悪の騒ぎとなった。暴動は街に大混乱を巻き起こし死者5人を出した後、発生からほぼ4日で収束に向かった。

キャメロン首相が「新しいタイプの暴動」と位置づけた今回の破壊行為は、人種問題や政治的見解の対立が原因ではなく動機が不明瞭なこと、さらにツイッターやフェイスブックといったソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)や携帯メールが暴動の組織化に利用されたことなどが特徴として挙げられている。また、警察が有効に機能しなかった点にも注目が集まった。

発端は

暴動は、薬物の密売を捜査中の警察が4日、29歳の黒人男性を射殺したことに端を発する。警察は当初、男性が先に銃を発砲したと説明していたが、それを不満に思った家族や友人ら200人が6日、抗議デモを行ない、その際一部が暴徒化し、暴動発生に至った。

尚、この射殺事件の調査に当たっていた「独立警察苦情委員会」は9日、黒人男性のものと見られる銃は現場で発見されたが、男性が警察に発砲した証拠は見つからなかったと発表した。

曖昧な背景

暴徒の多くが失業率の高い地域の若者で、彼らはキャメロン首相が財政立て直しのため打って出た失業給付などの社会保障削減から影響を受けている層に属する。このため「黒人男性射殺を引き金に、景気低迷のなか仕事に就けず、社会から疎外された若者が不満を爆発させた」と背景を一般化できなくもない。しかし、逮捕され裁判所に出廷した容疑者の中には、中産階級の出身者や、上流階級の女子大生、教員、デザイナー、11歳の少年などが含まれており、動機や目的を単純にひとことで片付けるのは難しいとされる。実際、今回の暴動には明確なスローガンは存在せず、大半が騒ぎに便乗し、略奪行為に及んだものとみられている。

キャメロン首相は15日、今回の暴動の背景は政治的なものではなく「紛れもない犯罪行為」と断言し、「道徳的崩壊の表われ」を原因に挙げ、これに対処するためにあらゆる政策を見直し、法と秩序の回復に全力を挙げると述べた。

こうした首相の強硬姿勢は、騒ぎにうんざりしている一般市民から大きな支持を得ており、世論調査では、市民の45%が暴動の犯罪性を批判し、28%が暴動の背景を「家庭や地域におけるモラルの欠如から」としている。世論は貧困層や子供に対して過保護な政策に辟易しており、警察の権限強化や厳罰主義を求めているという。

警察への批判

ロンドンで始まり、その後中部バーミンガム、マンチェスター、リバプールなどに飛び火した今回の暴動では、「警察の数が圧倒的に少なく、彼らは何ら手を打たなかった」との警察批判が噴出した。拳銃を携帯しない英国の警察は、通常暴徒への直接的な攻撃は行なわず、封じ込めを作戦とする。プラスチック弾などの使用も検討されたが、警察はぎりぎりまで慎重な姿勢を崩さず、10日になってようやく警察官を1万6,000人に増員したことで、暴動は沈静化に向かった。

キャメロン首相は警察の対応が十分でなかったことを認めており、12日、米ニューヨーク市警やロサンゼルス市警などで警察本部長を歴任したウィリアム・ブラットン氏を顧問に迎えることを発表した。一方、英警察は今回の不手際を、警察の予算・人員の削減によるものだとし、首相の方針に否定的な見解を示した。

暴動を煽った若者に禁錮4年

英警察は16日、20歳と22歳の男性2人にフェイスブックを使って混乱を扇動した罪で、それぞれ4年の実刑判決を言い渡したと発表した。2人については、いずれも住民が警察に通報したことで、暴動は未遂に終わっている。警察は今後も防犯カメラの映像や市民から寄せられた情報をもとに容疑者の摘発を続けていく。

今回の暴動では、若者がSNSで集合時間や場所を示し合わせ、略奪行為や破壊行為に及んだ。なかでも警察が発信元を特定できない暗号化されたスマートフォン「ブラックベリー」のメッセージ機能が多用されたといい、これが暴動を短時間で拡大させた一因と見られている。

キャメロン首相は11日、暴動などの混乱が発生した場合、暴徒らの連絡に利用されるのを防ぐため、SNSの利用規制を検討しいていることを明らかにした。ただ、これまで中国やエジプトの民衆蜂起におけるネット規制を批判してきた英国としては、矛盾を抱えた検討との指摘も挙がっている。

しかしSNSの利用においてはよいニュースもあった。ツイッターでの呼びかけで200人の暴徒が荒らしたロンドンの街が、同じくツイッターの呼びかけで集まった総勢500人の一般市民によって清掃されたというもの。来年の五輪に向けて、今後のロンドンが注目される。

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