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人類のエネルギー展望(1)

原発に代わるエネルギー源は、確保できるのか

落合 栄一郎

2011年3月11日の東日本大震災とそれに起因する福島原発事故は、人類のエネルギー問題を改めて考える機会を提供した。特に、日本では、エネルギー需要の30%を原子力発電が賄っているという電力会社の主張を巡り、原発を廃止すべきかどうか、そしてその場合に、代わりのエネルギー源は、確保できるのかどうかという議論が戦わされている。そして人類がこの先何世紀も生きながらえるためにはどのようなエネルギー政策が必要なのだろうか。この問題を少し考えてみたい。先ず、日本の現状を点検しておこう。

1)日本の現状:

原発なくとも 電力は足りるか?

現在の日本国民の最大の関心事はこの問いである。この答えは2011年8月現在「足りている」である。「たんぽぽ舎」という団体が調べた結果を要約しておく。

*東京電力管内:稼働中の原発は柏崎刈羽の3基で、合計出力は381万kw。今夏の供給可能電力は5460万Kwで、原発なしで5079万Kw。これに計上されていない揚水発電が100万kw以上、東京電力の使用電力実績は、8月13日のピーク時(午後2時)で4903万kwで、十分に間に合っている。
*関西電力管内:稼働中の原発の全供給量は337万kwで、火力その他を含めた全供給量は3010万kw、同日午後2時の使用電力は2748万kwで、原発を全廃すると僅かに不足.*中部電力管内:供給力2822万kw(原発は全て停止している)で、同日午後2時の使用量2520万kwでかなり余っており、関西に供与可。
*九州:稼働中の原発出力263万kwで、全供給量は1735万kw.従って、原発なしでは1742万kw。予想最大使用料は1560万kwで、少し不足。
*中国:稼働中の原発の出力82万kwで、全供給量は1220万kw.予想最大は1070万kwで、原発なしでも足りる。
*北陸:稼働原発なし。最大予想使用量540万kwで、供給力は604万kw。
*四国:原発2基が稼働中で113万kw。全供給量は620万kw(原発なしで、507万kw)、予想最大は550万kwなので、僅かに不足。

全国的にみると、約430万kwの余力がある。これらの計算には、自家発電(埋蔵電力)160万kwは考慮されていない。夏になる前には計画停電などを実施して、電力不足の不便さを国民に味あわせたが、いざ夏になってみると、猛暑日が続いたにも拘らず、国民の節電努力もあるにはあるが、電力不足による停電は起っていない。54基ある原発のうち2011年8月現在、稼働しているのはたった13基に過ぎないのにである。8月26日の東京新聞の見出し『電力に余裕、制限令解除を検討、エネ庁と東電』は、明らかにこのことを電力会社、権力側が認めている。原発が必要ないのが明らかになりつつある。原発にかける費用を自然エネルギー開発に振り向けることのほうが、長期的にみて遥かに有利であるし、放射能汚染による健康被害の心配もしなくてすむ。

2)人類のエネルギー使用量

人類全体のエネルギー消費量の現状を次に検討してみよう。

2006年で、約500EJ(J=ジュール、E=1018で数字の後に18個のゼロが並ぶ;この場合は、500000000000000000000J)と推定されている。このうちのおよそ87%は、いわゆる化石燃料(石油、石炭、天然ガス)を燃やして作られている。なお、この500EJというエネルギー量は、地球全体の生物がその生命維持に使っているエネルギーの推定値2000EJ(これには人類が生存以外に使っているエネルギーは含まれていない)と比較すると、25%になる。数百万種ある地球生物が生存のために使うエネルギーの25%ほどをホモサピエンスというただ一種の生物が使っている。

なお関連することだが、地球上の全植物が生産する炭素化合物(炭水化物その他)のやはり約25−30%程を、人類だけで消費している(食料、人間の食べる動物や魚の飼料、建築材、燃料など)。地球上に毎年降る利用可能な真水も、人間がその数十%を使っている。これでは、他の生物が生きにくかろう。

さてエネルギー消費量の最近の傾向を概観しておく。1980年に296EJであった、エネルギー消費量が、2006年には、約500EJ、この間に約67%のアップである。一方、人口は1980年に44億から2006年の約65億へと約48%のアップであり、エネルギー消費量は、人口増加を上回っている。すなわち、人類の一人当たりエネルギー消費量は今も増大し続けている。先進国での消費量アップもさることながら、中国、インドなどの経済状態向上に伴う国民のエネルギー消費増大が寄与しているものと思われる。

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