特集

インタビュー特集 5 写真家/編集者 古賀義章さん

被災者支援のためのチャリティー、電子書籍Tsunami Photo Projectを立ち上げた。

写真を通して被災者支援をiPhone とiPod で世界に発信

古賀義章氏

7月21日に行われたリッチモンド国際フィルム&メディア芸術祭“Your Kontinet”のオープニングで、世界のフォトジャーナリストによる東日本大震災チャリティー「3/11 Tsunami Photo Project」のスライドショーが行われた。
この電子版写真集を立ち上げたのは、講談社の古賀義章さん。オープニングに先立つ23日に、このアプリの紹介を兼ねた講演会が、ダウンタウンのリステルホテルにおいて行われた。

「3/11 Tsunami Photo Project」

東日本大震災の情報を古賀さんが知ったのは、仕事でインドに滞在しているときだった。空港などでは警官が、「お前の家族は大丈夫か」と優しい言葉をかけてくれたそうだ。

日本に帰って、自分にできることはないかと考えているとき、講談社の役員から何にかやらないかと話があり、すぐに企画書を書いた。それがこの東北大震災の写真の電子書籍だった。

古賀さんは、14人の世界的なフォトジャーナリストの写真を記録に残し、世界に伝えたい。しかもそれ自体を被災地の支援のために使いたいと考え、その手段としてiPhoneとiPodでダウンロードするアプリを考えた。ダウンロードを有料とし、そこで得た全額は全て被災者の救済のために日本赤十字社に寄付することになった。

これまでチャリティーとしてこのシステムが使われたことがなく、当初はアップルからの許可が出なかったためチャリティーであることをあまり表面には出せない状態だったが、なんとか実現にこぎつけた。予算も人も時間もない中、大震災から2週間後に製作をはじめ、1ヶ月後には配信が可能になった。

内容は、写真だけではなく、このプロジェクトに参加した14人の写真家の思いも、肉声によって聴くことができる。

ダウンロードは115円。(iPhone、iPod touch および iPad 互換 iOS 3.1.3 以降が必要)
http://www.kodansha.co.jp/311/http://itunes.apple.com/app/id431226495

リリース後、この電子書籍は50カ国以上で、50万人にダウンロードされている。

また、iPhone、iPodなどを持っていない人にも被災地の現状を知ってもらいたいということから、アプリの写真からいくつか選んで、コンピュータで見ることができるスライドムービーを作った。BGMには、坂本龍一氏にお願いしてこのために作曲してもらった、「Kizuna World」という曲を使用している。
http://www.youtube.com/ watch?v=hX6J1HdGI24/

古賀さんは、1989年に講談社に入ると、「週刊現代」などを経て「フライデー」などの写真週刊誌の編集部に勤務した。

1996年、普賢岳災害の取材を行ったことを契機に自らも写真を撮り始め、写真展や写真集「普賢岳―OFF LIMITS」を出版した。

また、オウム事件を契機に教団施設内部の写真を5年間にわたってとり続け、1998年「一瞬の王国―オウムが棲んだ杜」を発表し話題になった。

古賀さんは、2005年、「クーリエ・ジャポン」を発刊した。これは、フランスのニュース週刊誌「クーリエ・アンテルナショナル」とのコンセプト提携によるもので、世界中のメディアのニュース記事をテーマごとに選択して日本語で紹介するというユニークなものだ。世界1000社に及ぶメディアの記事から抜粋し、「海外ではニュースをどのように見ているのか」また、「日本は外国にどのように見られているのか」という視点で、様々な外国メディアの記事を日本に紹介した。

このような雑誌を作る発想を得たのも海外にいたときだった。たまたま古賀さんが講談社からフランスに研修留学していたとき、911事件が起きた。そのときクーリエ・アンテルナショナル誌は、世界中の国々がこの事件をどのように報じたかを特集した。そこに載せられた記事の考え方、ものの見方の多様さをみたときに、これを日本語でやろうというアイデアが生まれたのだ。そこで、講談社100周年事業の一環として新雑誌を発行するための社内公募に応募し、この雑誌の創刊が実現した。

コンセプトはフランス誌によるものではあるが、記事の選択はこの雑誌の編集部が独自に選択して編集しており、内容は、政治からカルチャーまで幅広い。

現在、古賀氏はクーリエ・ジャポンの編集長を後進に譲り、インドにおける出版業界進出にとりくんでいる。

blog comments powered by Disqus