光と風のなかで

小鳥の巣箱

「ティータイム!」と美しい声で呼んでくれるチカディーを庭に呼ぼう。 春の鳥たちに、子育ての場を提供するためには…。

我が家の庭に取り付けたBlack-capped Chickadeeの巣箱。此処には年によってミソサザイも巣を造る。

2月になると小鳥たちは恋の季節を迎える。チカディーは1月から時々「ティ-タイム!」と恋唄を練習するし、各種のFlycatcher(ヒタキ)も3月に入ると美しい声を聞かせてくれる。気をつけていると多くの小鳥の冬毛が徐々に美しい色合いに変わり始める。

冬は野生保護の分野では忙しい季節、雨さえ降らなければ毎日のように野外に出て、コクイットラム周辺だけでも約500個ある野鳥の巣箱の掃除をする。3月初めの土曜日、州立公園の森の中での巣箱の掃除があった。

此処は15年ほど前にFlying Squirrel(モモンガ)が巣箱で子育てをする事が発見された所、それ以来、巣箱を開ける前には必ずドアーをノックする事が行われている。先日もノックすると巣穴までぎっしり詰まった苔や地衣類がガサと動いて中から小型のリスのサイズのモモンガが僕の眼から30センチの所に現れ、パアッと飛び去った。いや、モモンガは飛ぶことは出来ない、滑空するだけ、そして隣の樹に飛び移り姿を消した。

モモンガはラクーン、コヨーテなどの捕食動物の餌食になるために北米での平均寿命はたった5年ほど、捕食に無い状態での寿命は15年である。

ところで鳥の巣は生態や性質から長い年月を掛けてそれぞれ独特の形が出来上がった。最も良く知られる「カップ型」の他に「横穴型」、「縦穴型」、そして「平面型」の4種に大別できるが、中には普通のスズメ(正しくはEurasian Sparrow)のようにそれらの型を余り気にせずに他の鳥の造ったものを横取りしたり去年の使い捨てを使う鳥もいるし、Brown-headed Cowbird(コウウチョウ)の様に他の巣に卵を産みつけてその主に子育てさせる種もある。

モモンガがフクロウの巣箱から覗く。


営々と何百年、何千年の間にその環境と気象にあった巣を開発してきても、環境が失われると人間のようには簡単に環境に順応出来ない鳥は多い。今絶滅危惧種になっているNorthern Spotted Owl(アメリカフクロウ)がその好例。環境の変化に直ぐに反応できるのは烏とカモメくらいだ。

その変化の中で特に危機に曝される巣は縦穴型の巣の持ち主。キツツキは普通、下に掘り下げて自家製する能力が備わっているので、森さえあれば比較的安泰だが、多くの他の縦穴族は「二次縦穴族」と言って大木の枝が折れ、節が腐って出来た穴やキツツキが虫を取った痕を巣とする種。

チッカディー、ミソサザイ、ゴジュウガラ(Titmouse)、ブルーバード、ミドリツバメ(Tree Swallow)や、多くのフクロウやミミズク類で、繁殖が阻害された。そこで人が巣箱を作って繁殖を助ける事が1980年頃から始まったわけだ。

Wood Duck(アメリカオシドリ)も巣場を失って生息数が激減した。今各地に取り付けた巣箱がその数を回復させた良い例である。日本に生息するおしどりの親戚で、未だに巣の数が不足していて、一つの巣箱に3番いくらいが次々に産卵することがある。コマドリは昼は普通巣に付かないので、産卵が終わった箱に次のつがいが入り、その箱を横領する、するとその翌日さらに他の番いが産卵、という具合に卵の数が増え、時には最後の番いが手に負えず巣箱を見放すことすらある。そこにいくとフクロウはまじめに自分の巣を守り、卵一つでもきちんと雛を孵す。

最新型の、雨漏りを予防したオシドリの箱、床サイズ25x25センチ、高さ約50センチ。

巣箱は毎年小さな事件を起こし、その度に改良が生まれ手今の形が出来上がった。そしてさらに毎年のように改良が加えられているが、雨対策がなんといっても最大の課題だ。例えば巣箱は普通背部の板に穴を開け、樹に打ち込んだ3インチの大釘に掛けるが、木の幹を伝って流れる雨水がその穴から巣箱に流れ込むのみか、濡れて居る事が多いためにそこから箱に腐れが入る。そこで箱の背板を長くして、箱の上部に穴を開けることで解決したのは一つの例。出来てみれば当然の構造でも、実際に数年使って見るまで箱の欠点は見逃しがちだ。

殆どの箱材は耐候性を考えてCedarを使うが、それでも時に屋根が反り返って木目から割れ、箱の中は水浸しになる事がある。家屋の屋根にアスファルトを貼る工事現場で使い残しの端切れを貰って巣箱の屋根に貼り付けることでこの事故の殆どを解消しする事が出来た。前板に薄い外装用の合板を一回り大きく貼って隙間を覆えば雨水の浸入を防ぎ、箱の中は雨季でも乾燥したまま保てるようになった。店で売られている巣箱の多くは人の目を楽しませる飾りや止まり木がついているが鳥にとっては外敵を招待するようなもので不適。巣箱の見た目が気に入ったら部屋の中に置いて楽しめば良い。

巣箱作りに最も大切な条件はその鳥の種類により、

  1. 巣穴のサイズ、
  2. 巣穴から床までの高さ、
  3. 床面積、
  4. 雨避け、
  5. 空間の大きさなど。
Duck Boxの中の巣板に産み落とされ、放棄された17個の卵

接着剤の使用は衛生上出来るだけ避け、必要に応じて人畜無害のシリコン材を選択する。各種の巣箱は長年の間に研究されて今は典型的サイズや構造を容易にインターネットで見つける事が出来る。この項に掲載した写真は最近成功している巣箱の例の一部だが、National Audubon Society、Cornell Laboratory of Ornithology、Bird Studies Canadaなどのウエブサイトで情報や資料を公表している。

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