年賀状のやり取り
減少傾向の年賀状のやりとりだが、「アナログ」の温もりを感じて人とのつながりを再認識する人々がいる。
早くも、新年が明けて下旬を迎えています。まったく時間は容赦なく過ぎていくようです。ところで今年も、多くの人たちと年賀状のやり取りをしました。
元日の朝、配達された年賀状を一枚ごとに見るたびに、書き手のことを思い浮かべ、気持ちが自然と和んできます。
ところが、年賀状をめぐる事情は、年々変化しつつあるようです。その端的な現れは、配達される年賀状の数量が年々、減少傾向にあることです。
実際、日本郵政によると、本年元旦に日本国内で配達された年賀状は20億8100万通で、前年の元旦よりも0.4%減少しています。最近10年間の元旦の配達数は01年の26億5000万通をピークとして減少傾向にあります。07年に19億1000万通に落ち込んだ後でやや持ち直しましたが、10年から再び2年連続で減少しています。
ちなみに、年賀状を何枚やり取りしたかについての調査が行われており、それによると、書いた数の全国平均は37.3枚、もらった枚数の日本国内平均は33.9枚となり、書いた枚数よりもらった数の方が約3枚少ない結果になっています。
ちなみに、この結果を都道府県別に見ると、書いた枚数が最も多かったのは石川県で56.3枚、2位が富山県で53.2枚、3位が北海道で53.0枚でした。もらった枚数が最も多かったのは、富山県で53.8枚、石川県で49.2枚、3位が北海道で48.0枚となり、北陸では年賀状のやり取りが多いという結果になっています。
また、年賀状を書いた枚数の結果を年代別に見ると、10代の平均は21.2枚、20代は13.2枚、30代は28.7枚、40代は38.2枚、50代は45.7枚、60代以上は55.3枚となっています。20代がほかの年代に比べて年賀状を書く人が少なくなっており、後述するように、パソコンや携帯電話の普及により、年賀状が電子メールに移行している人が多いのです。
現に、販売が伸び悩む年賀状が、市中の金券ショップに持ち込まれるケースが後を絶たないという報告もあります。たとえば、ある地方では一度に4千枚が換金されたショップも出ているとのことです。
そして、その背景には、「社員への割り当てられた厳しいノルマ」があるという見方もされています。郵便事業会社広報室は、実体のない売上高の計上は経営判断の基礎を揺るがすとしていますが、実態がつかめないため対応に苦慮しているようです。
ともかく、ここで年賀状のやり取りが減少している背景を改めて考えてみると、その一つとして、加速化する高齢化社会があげられます。
現に、筆者のところにも、かつて親交のあった人の家族から本人が死去されたとの一報が突然あったり、また高齢となったので、年賀状の挨拶を以後は遠慮する旨の通知があったりしています。
しかし、年賀状のやり取りが衰退しているもう一つの大きな理由に、すでに述べたとおり、パソコンや携帯電話の著しい浸透とそれに伴う電子メールの普及があげられます。特に若い世代を中心に、年賀状に代わって電子メールで新年のあいさつを交わすケースが増加してきています。
ところで、インターネットと年賀状が組み合わさった新しいサービスも見られるようになってきています。たとえば、電子メールアドレスだけで年賀状を友人に送れたり、年賀状を送りたい人の電子メールアドレスを打ち込むと、相手にメールで通知が届き、受け取り手が自宅の住所を登録すると、送り手がインターネット上で編集した年賀状をサービス会社が印刷、投函してくれます。
また、多種類の年賀状を販売し、たとえば風景やうさぎの数を変えることができるといったインターネットならではのサービスもあります。
いずれも、年賀状をやり取りする慣習は根強いと見て、インターネットの利便性を強調して、電子メールなどに流れている需要を取り込みたい考えのようです。
いずれにせよ、すでに見たように、従来の年賀状のやり取りに依然、強い愛着心を抱く人たちが中高年世代を中心に多くいます。この人たちは、年賀状のやり取りが人との「つながり」を再確認する良い機会となっているとする見解や、年賀状の、電子メールにはない「アナログ」の温もりを愛おしく覚えるといった感慨を持っています。
そもそも、「人と人との対話なくして、生活はありえない」(カミュ)のです。その意味で、「無縁社会」が懸念される現在、年賀状のやり取りは、「つながり」を生む貴重な機会を与えることにもなるので、今後も良き慣習として残していくことが期待されます。