新しい集客対策
必ずしも肯定的には受け止められていないが、レディースデーやレディースプランを採用して集客している企業がある。
先日、知人と待ち合わせて、彼のオフィスで協力して仕事をすることになりました。待ち合わせた場所は筆者にとって初めての土地で、昼食をとるためにその付近を歩きましたが、適当な店舗がなく、やむなく、何年かぶりに「吉野屋」に入りました。
以前と比べて、大きな変化がいくつか感じられました。
その一つは、客層が変わったことです。当時はほとんど見られなかった女性や家族連れが明らかに増えたことです。ちなみに、女性の一人客もいました。この状況は鉄道の駅構内にあるいわゆる「立ち食いソバ」店などでも見られる最近の現象です。
もう一つは、メニューが増えたことです。定番の主力商品の牛丼だけでなく、価格競争に対応するために開発された牛鍋丼や豚丼、牛キムチクッパなどで、売上構成比としては4割強を占めるようになっているようです。
これらの変化の背景には、「すき家」や「松屋」など競合する同業他社の存在とそれらの躍進があげられます。事実、吉野屋は2008年9月以降、後続の「すき家」に日本国内における牛丼チェーン店舗数では追い抜かれています。
ともかく、一般的に女性客の取り込みは客数の増加には有効な手段となっています。たとえば地方の都市では、市街地の賑わいを演出するために、若い世代の女性を「サクラ」として雇用し、商店街を遊歩させています。また、大学等の教育機関も、女子学生の存在が学生増につながるとして、その確保に努めています。
広くビジネスの世界でも、たとえばレディースプランやレディースデーは、既にいくつかの業界で存在しているサービスの形態で、主に女性の優遇をアピールするものです。これらの現象については、以下のような理由づけがあげられています。
- 事業者側が元来女性客をメインとして集客を図っているもの
- 普段利用しない女性客に利用してもらおうというもの
- 女性客を積極的に受け入れることで、これに同行する男性客も呼び込もうというもの
- 客同士の交流がある業態では、女性客の増加により、これを目当てとする男性客も呼び込もうというもの
吉野屋の新たな取り組みも、まさにこれらの意図にもとづいて展開されていると考えられます。実際、2008年時点では、来客の8割以上が男性一人であり、ファミリー層や女性グループなど新たな客層を取り込むために、従来の馬蹄形(U字型)のカウンターだけではなく、テーブル型を増やす出店戦略を採っています(2010年時点で約5割の店舗で展開しているようです)。
いずれにせよ、さまざまな事業展開の中で、購買者としての女性の存在が売上増に着実につながる要因として重要視されているのです。
ただし、このような女性優遇の姿勢は男性差別であるとして一部から批判の対象として槍玉にあげられることがあるほか、女性客を目当てに男性客を呼び込もうとする業態などを中心に女性側の中でも問題視することもあり、男女同権という考えの上では性差を強調するサービス形態だと批判的にみなされる場合もあります。もちろん、一方で、レディースプランの存在を理由として、その店舗を積極的に利用する側も存在することもまた事実です。
それは、女性を中心に集客があがるケースがあるからです。たとえば、平日の昼間は有職者の来客があまり見込めない時間帯ですが、レディースプランを設定することによって専業主婦層の集客がはかれます。
一般に、女性客は男性と比較して、口コミによる集客効果が高く見込めると考えられているために、口コミを利用した宣伝効果を期待して設定されることもあります。
なお、某民放テレビ局の番組でレディースデーが討議テーマになったことがあり、アンケートが行われました。その結果、79%が廃止を支持していることが明らかになっています。その理由として、男女平等に反する(=男性差別である)という意見がありました。また、それらの反対意見の中には、男性側にもこれらサービスを肯定的に評価する者も見られました。
ちなみに逆差別とは、「差別の是正の過程で、特定集団を優遇する措置を講じたことで、優遇されない集団の待遇・利益・公平感が損なわれることで生じる差別」(ウィキペディア)ですが、その意味では、女性優遇の対応に問題がないわけではありませんが、これまでのところ大騒ぎになってはいません。
Photo: Henry S