メンフクロウ
減少の一途をたどるフクロウを誘致しようと、巣箱を作っては公園にかけるナチュラリストの奮闘。フクロウは巣箱に入ってくれるだろうか。
高橋 清
この地域ではフクロウの生息数が減少の一途をたどっている。『減少の一途…』と何度書いたろうか、多くの生き物がその憂き目を見ているとは情けない次第だ。フクロウは一般に夜行性(両性も多いが)で夕刻から早朝にかけてが活動の時期、そして殆どのフクロウは自然地に生息する小型の生き物、ネズミ、リスやモグラなどの小動物か昆虫、フクロウによっては小鳥などを主食とする。ここまで書けばなぜ生息数が減っているのはは一目瞭然、自然地が減り、食物が減少しているからだ。
ところで、この地域で良く知られるフクロウは6種、Big-eared Owl(アメリカワシミミズク)、Barred Owl(アメリカフクロウ)、Great-grey Owl (カラフトフクロウ)、Barn Owl(メンフクロウ)、Short-eared Owl(コミミズク)、Screech Owl(小型のコミミズク)、他に稀鳥としてNorthern Pigmy Owl(コフクロウ)、Spotted Owl(ニシアメリカフクロウ)、Barrowing Owl(アナホリフクロウ)などがあり、更に北の地には異なる種もいくつかいるが、それはまた別の機会に紹介する。彼らの多くは小鳥より2~4週間早く、タカやワシなどの猛禽類と同じく3-4月に巣を作るが、季節が良く、食料となる小動物が多く見られる年には一年に2、3回も巣に付くことすらある。
フクロウは普通卵を約1週間掛けて2~3個産むが最初の卵を産むとすぐに抱き始めるので、同じ巣に産まれた雛のかえる時期が異なる。餌の多い年はそれでも問題ないが、少ないと先に産まれた雛が親の運ぶ餌を優先的に食べてしまい、生存競争が兄弟の間ですら起こることになる。孵ってから巣立ちまでの期間は種によって4~8週間と異なる。
フクロウは『一般に夜行性…』前記したが、実はコウモリと違って漆黒の中では餌を探すどころか飛ぶことも出来ない。薄暗い早朝や夕方は餌となる小動物の活動が活発だから、その頃に飛び回ることが多く、フクロウの翼の羽根の先は他の鳥の羽根と異なり、柔らかく毛羽立って消音効果が高く、羽音が殆ど無い。森の中をジョギングなどをする女性の髪が獣の尻尾の動きに良く似ていることから、それを餌と間違えて襲われる事故は毎年耐えない。機会があればフクロウは昼もハンティングを続ける。
今までにフクロウの巣箱を10個前後作ってこの地域の数箇所に取り付けた。巣箱を使う種としてBarred Owl、 Screech Owl、 Pigmy Owl、 Barn Owlが知られている。なかでもBarn Owlはその名の通り家畜小屋や空き家の内側の壁にある梁の構造などを選んで巣を作るが、箱があればそれを優先する。箱にはフクロウの種類によって多くのデザインがあるが普通スーパーに置かれた買い物籠くらいの大きさの箱を合板で作り、入り口、観察口、掃除しやすさ等から幾つかの工夫が凝らされ、今でも作るたびに改良をしている。
コクィットラムのコロニーファーム公園の近くでは数年前まですぐ近くのハイウエイの橋の下に巣を作っていたが、やがて姿を消してしまった。そこで再誘致をしようと公園内の建物に、管理者が協力してくれ、箱を取り付けたのは3年前。その2、3日後からこの辺りの鳩が早速その箱を見つけて巣を作って住み着いた。『誰も使わないよりいいや、』と言うわけで放って置いたが、管理の人が見かねて建物の反対側に別の穴を開け、屋根裏を鳩に開放してくれた。
その効果があったらしく、4月半ばにその人から、一羽のメンフクロウが鳩を追い出して巣箱に入った、と電話があった。翌朝、出掛けて建物の外壁に6インチ四方の穴を開け、内側の木組みに取り付けた箱の後ろにも観察用の扉を付けて置いた箱の裏側に梯子を掛けてそっと3センチくらいその扉を開けると、居た。メスのメンフクロウが物音に気付いて、こちらをじっと見ていた。瞬時に右手に持っていたカメラで一枚、驚かさないようにフラッシュを使わずにシャッターを押し、すぐに扉を閉じた。その間5秒。その驚きも恐れもないつぶらな眼は、しっかりと僕の心に焼きついた。
更に翌日、この街のいまひとつのミネカダ公園に12年ほど前に取り付けた巣箱を見に出かけたが、ここでは毎年一番いが春になるとここに来て巣を作る。この公園管理者もこの日も協力して梯子をかけてくれた。そこにはもっと大型の、ベランダまで付いた巣箱があり、妻が梯子を抑え、僕一人で重い箱を取り付けるのに苦労した思い出がある。いつもの通り先ず巣箱の上の天井を見ると、そこに渡されたパイプの上に見慣れた顔が、いかにも『やあ、久しぶり』と言った顔でこちらを見ていた。