Walk the Talk ! もう待てない温暖化対策
ぐずぐずしていては手遅れになる地球の危機。現実を知って私たちにできることを確実にやっていこう。
もうデッドラインです。うんざりするほど言われている温暖化対策。『ふれいざー』誌上でも何度となく取り上げてきたこの問題ですが、努力は現実の進行に遠く及びません。今私たちが身を削って努力をしなくては、子や孫に美しい未来はありません。もはや国の政策にだけ任せているときではないのです。
地球シミュレータをご存じだろうか。スーパーコンピュータの中にもう一つの地球を再現して気候や環境の変動をシミュレーションするものだ。この世界最大級のスーパーコンピュータは国立環境研究所、東京大学気候システム研究センター、海洋開発機構の共同研究チームが作り上げた。2年ほど前にこの予測に基づいたドキュメンタリーをNHKが制作放映したので、ご覧になった方もおられるだろう。
その予測のこれまでの的中率は非常に高く、ほとんどこの擬似地球が歩んだ過程を本物の地球がなぞっていると言っても過言ではない。
200年前の産業革命以後、二酸化炭素の量が急増し、地球全体の温度は平均0.6%上がった。このまま進んでゆくと、100年後の大気中の二酸化炭素は現在の2.6倍の960ppmになる。危機感を持った国際社会は対策を検討した。その結果今日と議定書で決められた二酸化炭素削減を全ての先進国が実施した場合でも、100年後の二酸化炭素濃度は860ppmになってしまう。
現在の世界の人口は65億、これが2030年には83億人になると言われている。当然エネルギーの消費量は増大し、二酸化炭素の排出量も増える。
し かし、地球シミュレータは、人々が削減に最大限の努力をしてやっと可能になるというレベル、700ppmという数値をもとに、今後起きてくる地球の状態を予測した。
そしてこれから…
その結果導き出されたものは、私たちの想像を遥かに超える恐ろしいものだった。現在でも氷や永久凍土が融け出し、海岸線が急速に後退しているが、2070年には北極の氷は消える。100年間で海面は17cm上昇し、それにより、世界で2億6千万人が住むところを失い、環境難民となる。大量の難民の出現は、移住先の人々との間で新たな火種を生みかねないというのである。
地球シミュレーターが
これまでに的中した予測の一部
- 予測 : 2003年にブラジル沖に本来ありえない熱帯低気圧のような現象が現れ、専門家が判断に窮した。
- 現実 : 2004年夏。観測史上まれにみる大ハリケーンが南米沖で発生し、4万棟が全半壊の被害を受けた。これが最初の異常気象予知となり、関係者を驚かせた。
- 予測 : 緯度の高い地域が熱波に襲われ、多くの犠牲者がでると予測されていた。
- 現実 :2003年8月に、フランスのパリが史上最悪の熱波が襲い、例年の平均気温を9度も上回る日が10日以上続いた。多くの犠牲者が出た。
- 予測 : 中国南部は雨量が増え、北部から朝鮮半島にかけては減少する。西日本では雨量が増加し、東北は雨量が減る。100年後の日本は、8月になっても梅雨前線が停滞している。
- 現実 : 中国では、南部を中心に雨量が増えて洪水が頻発し、北部は乾燥化が進んでいる。
- 予測 : 海面温度の上昇により海水の蒸発が盛んになり、蒸気を含んで熱帯低気圧が勢力を増し、北大西洋でも、大型ハリケーンが発生する。
- 現実 : 2004年、大型台風が多発し、最大瞬間風速が次々に記録更新された。最強とされるカテゴリー5のハリケーンが3つ発生。
- 予測 : 南米周辺の海水温が上昇し、アマゾンは下降気流に覆われて乾燥化が進む。これにより上流の森林が消滅し、2100年には森林の2/3が消滅して広大な砂漠が広がる。
-
現実
: 2005年、アマゾンの熱帯雨林で記録的な大渇水に襲われた。水位が5~10m低くなり、大河が干上がった。
2005年スペインで、降水量が例年の半分以下となり、145年ぶりの少雨を記録。南部ムルシア州では降雨量が例年の1/3となった。
台湾南部で、冬の平均気温が20℃を下回らなくなり、デング熱の感染症が大流行した。
温暖化対策 カナダの取り組み
温暖化ガスの排出を2020年までに20%減らす
関連企業の全てが二酸化炭素排出量を2010年までに2006年レベルから18%減らし、以後2%ずつ減らすことが必要とされる。2050年まで には70%排出量を減らす。
カナダは、オゾン層保護に関するウィーン条約を1986年に世界で最初に批准した。その後、オゾン層破壊物質の廃止も他国に先駆けて目標以 前に実現。モントリオールには、ウィーン条約国際特別事務局が設置され、開発途上国がオゾン層破壊物質を廃止するための支援を行っている。
カナダ国際開発庁は、国連砂漠化抑制条約に加盟し、開発途上国の環境プロジェクトに資金や活動を援助している。
カナダ全土に、持続可能な森林管理モデルが11箇所ある。
頑張るカナダ企業
国際的にも国内的にも、淡々としていてなんだか影が薄くて目立たない――これが多くの人々のカナダに対する印象なのでは?
でも、カナダには世界に自慢の分野があるのである。
燃料電池:世界をリードするカナダの企業
燃料電池の研究開発を続けるカナダ企業の先端をゆくハイドロジェニックス社は、2004年に世界経済フォーラムで「テクノロジー・パイオニア賞」を受賞している。
ガソリンのかわりに水素を燃料として走らせる燃料電池車の開発で脚光を浴びたバラード社は、もうすぐ日本の住宅において実用化される燃料電池の商品化にまでこぎつけている。
水素浄化装置を開発したクエストエアー社は、日本、中国やその他のアジア市場に参入している。
オバマ米大統領の地球温暖化への取り組みの計画
1月の就任演説でオバマ米大統領は、環境問題に対する積極的な取り組みを表明した。「友好国やかつての敵対国と共に、地球温暖化対策に不断の努力を行う」と宣言している。
現在のホワイトハウスのウェブサイトには、トップページの重要な政治的課題の中に「エネルギーと環境」がいれられた。
それによると、ソーラーエネルギー、風力発電、バイオエネルギーなどの、再生可能エネルギーの積極的な活用を計画している。
New Energy for America計画 (一部)
◇ クリーンエネルギー研究に対して今後10年間で1,500億ドルの連邦政府投資を行う。
◇ 全米の電力の10%を2012年までに再生可能エネルギーに変換。2025年までには25%にする。
◇ 年間100万世帯に耐候化支援でエネルギー効率の向上。
◇ 2050年までに温室効果ガス排出量の80%削減。そのためのひとつとして、環境に良い車を購入した人への$7,000の税額控除をし、 2015年までにハイブリッド車の100万台導入を行う、など。
シュワルツネッガーカリフォルニア州知事の模範的取り組み
カリフォルニアは過去35年間で500億ドルをエネルギー節約によってセーブし、他の州の一人当たりのエネルギー消費が増えていく中、カリフォルニアだけは1970年代以降増えていない。
★ 12年間に4ビリオンドルの援助金を出して、低額所得者の家の断熱効果を高める工事をさせる。
★ 目標:2020年までに二酸化炭素排出量を30%減らす。それにより1990年代前後のレベルになる。そのまま対策を続け、2050年までに現 在の80%まで下げて20世紀初頭のレベルにする。
★ 現在ある16%の石炭による発電を、全て再生可能エネルギーに変える。
★ 現在のカリフォルニアは12%が再生可能エネルギーだが、これを2年間で20%まで上げる。2020年までには33%までに上げる。
★ 100万戸の家の上にソーラーパネルをつける。
しかし、世界中が同じ程度の努力をしなければ、最悪の事態は免れないと多くの専門家はみている。
再生可能エネルギー発電開発の最先端 ナノソーラー
アルミパネルの上にインクを印刷する容量で塗りつける太陽電池を開発。従来の太陽電池よりはるかに大量生産が可能。パネル自体は安いが、上にガラスをかぶせなければならないため費用がかさむ。また、向こう3年間の製造分はすでに予約済みになっている。最近米政府が5億ドルを投資している。
しかし、ソーラーや風力で発電した電力を大量貯めておく技術がまだ開発されていないため、全面的な使用にはまだ至らない。現在オバマ政権のエネルギー大臣はこの問題の解決に力を注いでいる。
責任は私たちにある
○エネルギーと地球温暖化
カナダの電力の約7割は水力と原子力により発電されていますが、残りの3割は石炭・重油・天然ガスの燃焼により発電されています。カナダの電力は水力発電で全て賄われていると思われているかたが多いと思いますが、実は少なからぬ火力発電も行われているのです。
また、忘れてはいけないのが水道です。水道水として利用するためには多くの処理が必要であり、その過程で利用したエネルギーの分だけCO2を発生しています。「水道料金は税金に組み込まれているから関係ない!」なんて考えはもってのほかです。(ちなみに日本の環境省によると、水道水1tonあたり0.36kgのCO2を排出するとのことです)
過去の記事でも取り上げましたが、照明においては電球の必要な箇所以外は蛍光灯などの高効率器具への変更や、こまめにスイッチを切る習慣や人感センサーつきの器具へ変更し、余分な電力を使わないようにすることが大切です。キッチンストーブは高効率ヒーター器具やIH(Induction Heating)へ変更することにより、効率よく電力を利用することができます。暖房や給湯はヒートポンプを利用したエアコンや給湯器へ切り替えることにより、非常に効率よく電力を利用できるようになります。
○産業と地球温暖化
産業は多くのエネルギーを必要としますが、とりわけセメント産業は膨大なエネルギー投入とCO2を排出する産業です。原料となる酸化カルシウムは石灰石に熱を加えて作ります。その際に石灰石に固定されていたCO2が排出されます。セメント1tonを作るのに約1tonのCO2が排出されるといわれ、カナダでは年間約1,500万トンのセメントが生産されています。
基本的に無尽蔵といわれる資源から手軽に生産が可能であることと、社会整備に必要不可欠な材料であるため安易な規制はできませんが、せめて計画的な利用により効率よく利用するよう心がけるほかありません。
無尽蔵ともいわれる石灰石が原料なためリサイクルされるケースは非常に少なかったのですが、昨今は廃セメントに再びCO2を固定して原料として再利用する技術が確立されつつあります。これにより、石灰石の採掘により山を崩すこともなく、森も壊さず環境を改善することが期待されています。
○廃棄物処理とエネルギー
廃棄物はその種類によって分類があり、それぞれに適した方法で処理することが必要です。
家庭から出る主な廃棄物として、生ゴミ・本雑誌・芝の刈り込みの3つについて考えてみたいと思います。生ゴミを処理するとき、手間を省くためにディスポーザーで破砕して流してしまっていることが多いと思います。しかしながら、ディスポーザーは排水下流域水質の悪化やメタンの発生を起こしやすくなるため、適切な管理が必要です。(メタンガスは可燃性ガスですが、CO2の21倍にもなる温室効果ガスでもあります)
この場合、コンポコスト装置を上手に利用すると、生ゴミは堆肥とて再利用が可能となります。また、芝の刈り込みもコンポストに入れてしまえば、よりよい堆肥として再利用することができます。雑誌は燃やすことなく、結わいて出しましょう。
エコロジカルライフ
高橋 仙明
自分が生み出す
二酸化炭素の
量を測定しよう
自分の家や車が、どれくらい二酸化炭素を作っているかを簡単に計算してくれるウェブサイトがあります。指定の数値を入れていくと排出量がわかります。定期的に行えば、省エネ生活の努力の結果を現実の数字で見ることができます。
CO2排出量計算機
www.carbonfootprint.com
家庭用の場合は12カ国語に対応しており、日本語でもできます。
www.carbonfootprint.com⇒Calculators
⇒Home Calculator⇒言語で日本語を選ぶ。
積極的に対策に貢献するには
1.グリーン・テクノロジーを開発している会社を応援する。 投資など。
2.環境に配慮した車に乗る。
3.家屋やオフィスの断熱効果を高めるようリノベートする。
4.ソーラーや風力発電機などを設置する。
こうした環境対策はかなりの資金が必要だが、結果的には現在よりも経費が減る。
これらの対策を行うと、ものによっては連邦政府や州政府からタックス・リベートや援助金がでるものがある。詳しくは以下を参照しよう。
http://www.ec.gc.ca/incitatifs-incentives/
家庭でできる省エネ対策 ―できないとは言わせない!
冷蔵庫
開閉回数を減らす。
12分毎に25回開閉した場合とその倍では、
原油換算2.62L CO2 4.7kg
素早く出し入れ。
開閉時が10秒の場合と20秒の場合では、
原油換算1.54L CO2 4,7kg
詰め込みすぎない。
半分入れた場合と詰め込んだ場合では
原油換算11.05L CO2 19.9kg
適正温度に調整。(1~5℃。野菜は3~7℃)
22度の部屋で設定温度が強と中では
原油換算15.55L CO2 28.0kg
★熱いものはさましてから入れる。
★常温で保存できるものは冷蔵庫に入れない。
洗い物
★最初にため洗いをしておく。
★こびりついたものは漬けおきしてから洗い流しておく。
食器洗い機
★まとめ洗いをする。
★乾燥は扉を開けて余熱で自然乾燥させる。
料理の下ごしらえ
野菜の下ごしらえは電子レンジを利用するほうが50~60%のエネルギー節約になる。
100gの野菜を27℃の水1Lに入れて沸騰させる場合。(食材により異なる)
原油換算6.32L CO2 13.0g
★ご飯を保存する場合、4時間以上経ってから食べるならば、炊飯器で保温するより、電子レンジで暖め直すほうがエネルギー節約になる。
普通の電気ポット
長時間使用しないときに保温はしない。
ポットに満タンの水2.2Lを沸騰させて使用し、残り1Lを6時間保温した場合と、プラグを抜いて再加熱した場合は
原油換算27.08L CO2 48.7kg
調理時
★鍋の底についた水を拭いてから火にかける。
★食べ残しを出さない。
ゴミを燃やすのも無駄なエネルギーを使う。
★なるべく地元産の食品を買う。
遠い産地の食品は輸送にエネルギーを使う。
★レジ袋をやめてエコバッグを利用する。
レジ袋1枚で664kJのエネルギーを使用する。
◆食品の成分標示にあるKJとは:
キロ・ジュール。1カロリーは1gの
水の温度を1度上げる熱量を言うが、1カロリーは4.2Jで、1KJは1000J。
洗濯機
洗濯物は洗濯機の容量いっぱいにまとめて。
容量6kgの中に8割で洗う場合と6割の場合
原油換算1.48L CO2 2.7kg
掃除機
部屋を片付けてから手早くかける。
掃除機をかける時間を1日1分短縮した場合
原油換算1.37L CO2 2.5kg
ゴミのパックはある程度たまったら取り替える。
パックが満杯の状態と未使用のパックの場合
原油換算0.39L CO2 0.7kg
シ ャワー
出しっぱなしで洗わない。10分出しっぱなしでシャワーを浴びると、ほぼ8Lのお湯を使う。
45℃のお湯を流す時間を1分短縮した場合
原油換算14.82L CO2 29.1kg
ドライヤー
★タオルでよく拭いてから。かける時間は最短に。
照明器具
電球型蛍光ランプに切り替える。
54Wの白熱電球と電球型蛍光ランプの場合
原油換算21.17L CO2 38.1kg
無駄な点灯をしない。
点灯を1日1時間短縮した場合
54Wの白熱電球
原油換算4.97L CO2 8.9kg
12Wの蛍光ランプ
原油換算1.10L CO2 2.0kg
★電気のカサやカバーをこまめに掃除して明るさを維持。
テレビ
見ないときは消す
1日1時間つけている時間を減らした場合
25インチのブラウン管テレビ
原油換算8.03L CO2 14.4kg
20インチ液晶テレビ
原油換算3.78L CO2 6.8kg
32インチプラズマテレビ
原油換算18.79L CO2 33.8kg
画面調節をあまり明るくしない。まずは画面のホコリを拭く。
25インチブラウン管テレビの画面の明るさを最大から普通にした場合
原油換算7.53L CO2 1.1kg
音量をあまり大きくしない。
25インチブラウン管テレビの音量を最大から普通にした場合
原油換算0.62L CO2 1.1kg
その他の電化製品
電気製品は、スイッチやリモコンからの起動の指示をいつでも受けられるようにするため、一定の電気は常に流れています。また、マイコンやメモリー、液晶標示装置など、スイッチをOFFにしていても電気を消費している製品は数多くあるのです。つまり、コンセントを差し込んであるだけで一定の電力は消費しています。
旅行などで長時間使わないときはプラグを抜くいておきましょう。
資料:The Energy Conservation Centerより